小さい頃、うちにサンタさんは来なかったという話は以前したと思います

それでも一部の望みはありました

それはサンタさんがあわてんぼうだと言うことです
歌にありますよね「あわてんぼうのサンタクロース、クリスマス前にやってきた」
この歌を初めて知った時、サンタさんはあわてんぼうなんだ、前日にやってきたり間違えたりもするんだと思ったんです

それは私にとって嬉しいことでした
今まではサンタさんの間違えだったんだと、あわてんぼうだから忘れてたんだと

その年のクリスマス、靴下を用意して寝ました
朝起きると案の定、靴下はペチャンコでした、それでもその年はがっかりしませんでした
なんせサンタさんはあわてんぼうなんだからと…
間違えて違う場所に置いたんだ、きっとそうに違いないと考えていたのです
だから、朝起きてプレゼントが無くても私は慌てませんでした

まずは押入れの中…無い
違う押入れの中……無い
物置の中……………無い
駐車場………………無い
外にある物置………無い
だんだんと焦ってきます、本当に無いのか？今年もサンタさんは来てくれなかったのか？

でもまだ望みはありました、本命の場所と考えていた屋根裏です
家の中で一番空に近い場所、それが屋根裏だったからです
そこが本命だと思っていたので最後に確かめようと思っていました
寒い外から意気揚々と二階へ上がり、屋根裏を確かめました

……………ありませんでした

それでも私は諦めませんでした「クリスマス前にやってきた」と言う歌詞…そうだ次の日にも来るかもしれないじゃないか、そうだ、そうだ

次の日もあるわけがありません

無いことが分かると私は家族には見られないように泣きました

心のどこかでは親が用意してくれていると期待していました
サンタにもらえなかったら親が用意してくれるものだと思っていました
でもありませんでした

悲しかった…

あわてんぼうのサンタクロースという歌は私にとって希望でした

と言うお話です

おわり