庭の掃除をした。

　雑草は小まめに抜いたほうがいいのだが、面倒くさいので放置してしまう。今年は苔が順調に成長しているので水やりを欠かさずにしている。湿らせておかないと苔は枯れてしまう。苔は年輪を感じさせるので庭に風味が出る。苔むした感じが好きである。新しく造園した庭と古い庭を比べると、見た感じでわかる。町内に和食の店があるが、玄関の周辺に水やりをして置き石にも苔が生え、柔らかい和食店というムードを醸し出している。料理人の姿勢が感じられていい。

　レストランに入って坪庭が生き生きしていると、オーナーの姿勢が感じられて、庭だけでなく料理にも生かされているように思うから不思議である。何事も雰囲気作りが大切である。一流の旅館は奇麗というのは、隅々まで掃除が行き届いているからだろう。飲食店の場合、美味しければいいというものでもない。やっぱり、流行っている店はキッチリと整備されている。周辺に対する気配り、心配りは大切である。料理をするにしても、俎板や包丁を奇麗にしておくことが重要である。家の包丁は月に何回か砥石にかけているが、プロの調理人は大工さんと同じように毎日、包丁を研いでいるのだろうか。包丁は研げば減るので、研ぎすぎるのもどうか？道具は消耗品か。

　物の掃除だけでなく頭の掃除も必要だろう。思考方法の整理整頓がいる。感情の整理もいる。これが難しい。未練というものがある。簡単に諦められない。何時まで悩んでいるのか。無駄な考え休むに似たり。それでも欲しいものは欲しい。年齢と共に諦めがつくものもある。これだけは済ましておきたい。死んでも死に切れないものもある。不思議なもので、これも年と共に解決していくだろう。