脳活日誌766号
今月の読書会。
先月は島崎藤村の『夜明け前』で懲りたのか、肩の凝らない吉行淳之介の『暗室』に決まった。吉行の文章は女性遍歴という体験の上に作品が書かれている。小生は経験がないので、実の籠った感想は書けない。小説が書けないのは、こうしたところに要因があるのかもしれない。これが正直な読後感である。永井荷風、谷崎潤一郎や川端康成にしても、書かれた作品から作者の体験している映像を類推できる。小説というのは作家の体験を映し出す要素がある。
一定の体験を素材とした作品には、ドキュメンタリーとか歴史小説とは違う風俗描写がある。どんな文章にしても書き手の意識注入というものが、濃淡の差があるが、見え隠れする。描かれている場面から、書き手が何を吐露しようとしているのか、これを類推していく楽しみも一興である。事件ものや推理ものは事務的に筋書きを設定していると思えるが、これにしても筋書きの推理を楽しむという視点から見るとエンターテイメントである。私は殺人事件の想定は苦手である。若い頃に殺人事件をあれこれ考えている内に、気分がオカシクナッテ、この分野は自分に向かないと撤退した。怖くなったのである。
朝から晩まで完全犯罪につて考えているのは精神衛生上よろしくない。それでも松本清張作品は百冊以上読んだだろうか。同じ作家の作品ばかり読んでいると筋書きのパターンが読めてくるので、ある時から読まなくなった。読書というものはこうしたものである。吉行の『暗室』は読んだので、余興として河出文庫の『江戸枕絵の謎』林義一著などに目を通している。読書にも寄り道が必要なり。
アメショ
2017/04/08 08:30:32
「正論」「潮」等、1000円くらいのまとめた、文論とか、読まないの??。
いわゆる、現代を、今を。
教授ばっかりか。。