脳活日誌780号
トイレの空間。
吉行淳之介の短編『鋸山心中』に「むかしの便所は、怖いところだった。」と書かれている。泥棒の侵入口であったり、痴漢の目が光っていたりである。子供の頃、私は母親の里に一人で遊びに行った。便所へ行くのが怖かった記憶が今も記憶に残っている。農家だったので門を入ると中庭があって、便所があった。中庭の周囲に納屋があったり、米倉があったり、風呂があったり、ニワトリ小屋があったり、いろんな建物があった。便所はこうした作業をしていても、すぐに使えるように外にあったのである。戸板一枚を開け、便所に入ると、今のような水洗便所ではなく、直接にポットンと落下するタイプで昔はこんなものであった。恐怖感というのは、背後から得体のしれない妖怪がお尻にかぶりついてくるような錯覚を覚えたからだ。
水洗便所が普及してからは、こうした話は自然と搔き消えてしまった。田舎の便所のような恐怖心が浮かんでこない。我が家のトイレには相田みつを作品集「にんげんだもの」という短冊状の心の暦なるものをぶら下げている。31枚あるから1年で12回眺めることになる。本日21日は、「なまけるとこころがむなしい一所懸命になると自分の非力がよくわかる」となっている。句読点がないので読み間違える時もあるが、なるほどとトイレを出る時に感心する。
知人の家には英語の辞書を置いているところもあった。等身大の大きな鏡を正面に設置してある家もあった。服を整えたりするのに便利だからであろう。造花や消臭剤はどこの家でも置いているが、我が家の居候が便所にコップを持って入ったことがあったので叱ったこともあった。トイレでタバコを吸ったり、困ったものだ。
みき
2017/04/22 09:21:45
ごま塩ニシンさん、おはようございます。
もう建て替えましたけれど、父の実家が農家で、私が小さい頃はまだ、ごま塩ニシンさんが書かれたようなお家でした。
トイレがお外にあって。
照明もなかったように思います。
夜は懐中電灯持っていったって記憶しています。
利便性の他にも、今の建築のような気密性もなかったので、屋内に造ると臭いも気になったのだと思います。
アメショ
2017/04/22 08:29:37
結局、無人島に、何が、といわれたら、「トイレ」だろう。
無人島だから、気にするいことは、ないし、開拓できるが。。。
汲み取り式から、知っている。
もう、しゃがめない、ほど。
様式トイレで、便所飯で、いいです。