不在の空虚
(当初、友達のみの公開でしたが、吹っ切るために公開いたします)
部位は異なるけれど、二人とも『癌』でした。
この病は、若いほど進行が早いのですね。
一人は治療に専念する為故郷に帰るとき「一年以内に死ぬことはないから、大丈夫」そうメールに書いてくれたのに、半年も経たずに帰らぬ人になりました。
もう一人は、久しぶりに会った時に怖いくらい痩せてしまっていて、本人は夏バテだと言い張っていましたが、すぐに病院に行くよう説得したのです。その時にはもう、手遅れだったのでしょうね。
当時は、ただただ悲しかった。
ただの友達だった私でさえ調子を崩すほどでしたから、ご家族、特にご両親の嘆きは計り知れません。
時間という名のお薬が効いてきて、その悲しみが薄まった後も、ある日突然、不意打ちのようにぶり返す事があるのですね。
例えば街を歩いていて、彼女が大好きだった書籍の続巻を見つけた時や、好きだったアイドルグループの新曲の広告を目にしたとき、つい心が躍ってしまうのです。この話題を出したら、あの子はきっと嬉しそうな反応を返してくれるだろうなとか思ってしまったりして。
或いは、自分と彼女が共に興味を持っていた分野のニュースをテレビで目にして、やはり心が弾んでしまう。この話題を語り合って彼女の見解を聞きたいななんて。
それから不意に気付くのです。
………もういないんだった。
その不在の空虚さを克服するのは、結構かかりました。
おかしいな。もう十分なくらい時間が経っているのにな。
私とは何の接点もない有名人の訃報、それだけだったはずなのにな。
何年経っても消せない、彼女たちがくれたメール。
消費期限なんてとっくに切れているけれど捨てられない、最後に手土産に持ってきてくれた紅茶。
未練がましいと言ったらそれまでかもしれない。
女優、斉藤由貴さんの持ち歌に、「悲しみよこんにちは」というのがあります。
「めぞん一刻」というアニメの主題歌でもあった、とても良い歌なのですけれど、
ダメだわ。私には何年経っても悲しみなんかと仲良くなんかなれないわ(笑)