【お話】海に沈んだ伝説
波の底から、鐘の音が響く。
ディンドン,ディンドン。遠く、低く、はるかに遠く。
かつて栄え、かつて人が集い、
夢を幸福を、つむいでいた都。
今はゆらゆらと波の底、誰の記憶からもうすれ、
その名を知る者もいない。
最後まで都に残った詩人の歌は、今も、
水底で魔法の響きを帯びて、月の光をなつかしむ。
ディンドン、ディンドン。金の波、銀の波。
都をいろどり、夢をつむぐ。
それは歌。彼方に向かう歌。
ディンドン、ディンドン。蒼の波、白の波。
夢をいろどり、都をつむぐ。
それは魔法。かつてありし魔法。
波の底にゆらゆらと、
見えるものは、過去か。未来か。
詩人よ。詩人よ。
魔法を今も響かせる、心優しき、
けれども最後まで都を見捨てなかった、強き人よ。
あなたの心は、魂は、
今も翼を持ち、自由であるのだろうか。
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暑かったので。アトランティスやイース、リオネルなどの、海に沈んだ都の伝説を考えながらお部屋を作りました。