侵入禁止違反、相変わらずバイクが突っ込んできます。
交差点には「進入禁止」の立て札が、３枚もあり、
パイロン、虎バーで、あれほど頑丈なバリアーが張ってあるのに、
突っ込んでくるバイクが後を絶ちません。

今日のも、その１台。

ヘルメットの後姿なあんて、年齢も風貌も予想が付きませんが、
来てはいけないものは、イケないのです。
いつもの調子で、「進入禁止違反！」と一喝。
いつもの様子と違ったのは、２０代前半のおとなしそうな男性でした。
「すみません、入って来てはいけないんですか？」
イカンに、決まっとろーが。

そして、バイクのハンドルにぶら下がっているスーパーの袋に、
どんぶり飯が１杯、斜めにひっくり返っているのが見えました。
…どんぶり飯？

「何しに来たの？」と聞くと、
予想だにしない答えが返ってきました。

「サンマが食べたかったんです」
はあ？サンマ！？サンマなんか獲れんぞ？
「サンマ、知り合いの魚屋さんで分けてもらったんです」
じゃ、家で食えよお！
「家に、キッチンがないんです」
はあ？キッチンがない？！
「それで、炭を買って、どこかで焼いて食べようと思って…」
どんぶり鉢に、白飯をぎゅーぎゅーに詰めて、
サンマを焼く場所を、探して放浪していたというわけです。

・・・

う～ん、これはもう月９のドラマかなんかの話ですな。

怒る気も失せて、
兄ちゃん、ここいら辺はね、国立公園で火気厳禁なんです。
焚き火なんてしようもんなら、消防車が飛んできますよ。
「知らなかった…」

では、こうしましょう。
本日のみの臨時バイトということで、
１時間だけ、ママちゃんの仕事を手伝ってください。
（ママちゃんは、今日はキャンプ場で枯れ木を燃やしていました）
１時間後、キャンプ場のBBQコーナーを使って、
サンマでも、何でも焼きなさいと提案しました。

「いいんですか！(^^♪」
これはもう、人道上の処置ですよ、
そこまでしてサンマが食べたいという青年を、
このまま台所の無い部屋に帰すわけにはいきません。

結局、青年は昼過ぎまでキャンプ場で遊んで行き、
わたしとママちゃんにも、貴重なサンマを１匹分けてくれました。
そして、ママちゃんと仕事をしている１時間に、
ここが会員制であること、
普段は、はなちゃんは侵入バイクを撃退して、
ぜったい入れてくれないこと、などを聞いたようで、
「僕も、会員にしてくれないかなあ」と言っていたそうです。

ママちゃんが「たぶん、無理」というと、
「何とかお願いしてください」
「じゃ、聞いてみる」
へ？
ママちゃんの推薦で入会希望がかないました。

なんとまあ。

普段は厳しい仕事をしているのですが、
寮に入っていて、休みの日は、賄い飯もないのだそうです。
それで、どうしてもサンマが食べたくなって、
放浪していたことが分かりました。

来週から、休みの日には、
キャンプ場のBBQコーナーで、飯を食いに来るそうです。
どんぶり飯は、持って来なくてよいと伝えておきました。
メシくらい、腹いっぱい食べさせてあげます。

車両進入禁止違反の現行犯、
本日、新規ご入会の正規会員様となられました。

撃退中に、あのどんぶり飯が、見えなかったらなあ。
入会は無かったぜ。
しゃーないか。

「極楽」ブログに写真アップしました。

http://nannsetogg.naturum.ne.jp/e2974055.html