【お話】月の光に魔法が混じって降ってくる。
月の光に魔法が混じって降ってくる。今夜はそんな夜。
もらったステキコーデ♪:2
よいしょっと。時間だよ、妖精さんたち。
今夜の月光は、格別。
光に混じって、魔法の力が降ってくる。
草も、木も、月のしずくにぬれて、魔法の力を呼吸している。
今なら、異世界への扉もたやすく開くだろう。
過去と未来が、いま、ここで、
輪になって、手を取り合っているのがわかる。
ほら、どうしたの?
帰る方法を探していたんでしょ?
そんな顔しないで。君たちの居場所にお帰り。
ぼくは大丈夫。
ここが、ぼくの場所。ぼくの世界。
魔法を知る者は年々、減ってゆくけれど、
異世界への扉の管理者も、きっと、どんどん減ってゆくけれど。
ここがぼくの場所だから。ぼくはここで、生きていく。
友だちになれて良かったよ。
たまには、ぼくのこと、思い出してね。
じゃあ。ほら。時間だ。
君たちが帰る間ぐらいは、がんばって扉を開けておくから。
気を付けて。君の世界に、君の生きる場所に、
無事に、帰るんだよ……!
***
異世界から迷い込んできた妖精を保護した、絶滅寸前の魔法使いの設定。
異なる世界同士をつなぐ扉の管理をしていて、妖精たちに、自分たちの世界に来ないかと誘われますが、
断って、彼女たちを帰すために尽力します。
どちらにしても、妖精たちが帰るためには、こっち側で扉を開けておく人がいるので、一緒には行けないとわかっていました。そのことは告げず、あらためて自分の世界で生きる覚悟をし、彼女たちを無事に帰還させました。