大昔、祖父が有り合わせのいい加減な材料を元に
自力で掘っ立て小屋を建てたのだけど、その作りたるや　あまりにもいい加減なので
祖父が死んで１０年もするとトタンの屋根が飛んで、雨漏りどころの騒ぎではない。
最初のうちは、屋根を自力で直していたが、最早　そもそもの材料がいい加減すぎて
直してどうこうという状況でもなくなった。
それでトタンが一部ない状態で放置していたのだが、定借で土地を借りている家が
「トタンが飛んできて迷惑だ」などとインネンを付けてきたので仕方なく屋根のトタンを全部撤去する事にした。

ところが定借の借り主は「小屋そのものを全て撤去しろ」などと過大な要求をしてきた。
過大な要求は突っぱねて屋根のトタンだけ撤去する。
屋根のトタンだけ撤去するというのが言うほど簡単ではない。
トタン１枚を複数箇所で釘打ちしてあるので、それを全部　釘抜きで引き抜いてトタンを一枚づつ下に落としていく。
ところが小屋の中はガラクタだらけなので足場が悪い。
さらに屋根を支える木材が思いつきで材料を足したようになっているので、頭を屋根に出すだけでも一苦労。
屋根の上に上がって釘を抜いていけば、作業も早いがトタン板自体がサビサビ状態なので下手に腕に力をかけると穴が空いて、思わず落ちそうになった事がある。
だから屋根の上に上がるのは必要最小限にしないと大怪我の元だ。

トタン板を外す作業も終盤になると、いよいよ屋根の上に上がらないと釘を抜けなくなる。
幸運にも最後の方のトタンはサビ状態が致命傷の一歩手前だったので、上に乗ったら崩壊するほどヤワでもなかった。
撤去したサビトタン板は倉庫に放り込む。
それで帰ってきたが何ともホコリだらけで服はすぐさま洗濯にまわした。
あーもうこういう仕事は勘弁してもらいたい。