ごま塩ニシン

新怪アウトプッター(14)

自作小説

「ご心配ご無用ですよ。ちゃんと、補償させていただきます。あなたのお気に入りの新品のスマホをご購入いただき、代金は、私がお支払いいたします。スマホの異常現象を解明するための、あくまでも科学的な研究のためなのです。ご協力お願いできませんでしょうか。」
 湯之原は姿勢を正して、こう力説するとテーブルに運ばれて来た飲料を指さして、「それでは乾杯しましょうか。」と音頭を取ったのである。由梨花の判断はもう、舞い上がっていた。これまでとは違った空間に迷う込んだような錯覚を覚えた。
 この時、福村慎平が「やあ、遅れてごめん。」と顔を出した。
 由梨花は「もっと、早く来い。福村よ。事前に話の内容は言っておいてくれ。」と心中で叫んでいた。乾杯の後、湯之原が由梨花のスマホをテーブルに置いた。あたかも隙を狙っていたかのように、由梨花は自分の手元にスマホの位置を引き戻した。福村が加わることで、話題は由梨花のスマホから別の方向に流れて出した。
「石橋販売部長に言われて、M社に知り合いがいたら、あそこのパソコンシステムに異常が発生していないか、それとなく探ってこいと言われたんだが、別に変わったことは何も起こっていなということだったよ。」
 福村の話を受けて、湯之原が言った。
「誰か、知り合いがいるの。」
「中学の時にサッカークラブにいた、ガキ友達がいるのよ。生産ラインのシステム設計なんかしているらしい。その男に聞いたら、何でお前が、そんなことを探りに来るのだと、逆に疑われてしまったよ。だからさ、わが社で。ちょっとしたトラブルがあったので、ネットで共有している部分もあるので、影響は出ていないかと訊いたら、全く何もない。あったら、こっちから聞きに行くと言われたね。まあ、正直に言ってくれたのではないかと思っている。」

  • アメショ

    アメショ

    2018/01/25 06:22:25

    こういう、トラブルが起きた時、そもそも、どこに、追及かで、
    そいつがでるなー。
    ある意味「恋愛」「勉強」ごとし!。