新怪アウトプッター(15)
「問題の発生源は、経理課のプリンターからの出力にある。自社の文書であれば、問題はなかったが、M社の取締役会の議事録が出てきた。実際に起こり得ないネットのトラブルになってしまった。高度な情報社会にあって、システムの違う会社のデータが日常業務の中で混線して、晒しものになったら、ネット社会が崩壊してしまうかもしれないからね。」
湯之原は総括的に感想を述べた。
「先輩。もう、仕事の話はよしましょうよ。それより、今日は滅多にない機会ですから、飲みましょうよ。」
福村にはネット上のトラブルなんて問題ではなかった。目の前の二人の女性との対話の方に興味があった。福村はなかなか接触する機会のない経理課の入江美佐子が自分の前に座っている。この機会を無駄にしたくなかった。由梨花にしても、湯之原とのやり取りで胸が痛くなるような提案が出たので、自分のスマホの話題から離れたい気持ちがあった。話題が変わるのは安心であった。しかし、次の話題と言えば、福村の独壇場で、一度4人でどこかへ旅行に行きませんかとか、ボーリングをしませんかと言った遊びの話であった。コンサートはいかがですかとも言った。由梨花に言っているのか、入江美佐子を誘っているのか、焦点を誰に絞っているのか、この点も曖昧であった。こうした話題になると、湯之原は苦手らしく、ただ笑っているだけであった。むしろ、湯之原は由梨花のスマホに発生した異現象に興味を惹かれるらしく、上目遣いで、ちらっと彼女の横顔を見たりした。
「カラオケ。先輩、どうですか。一度、生きましょうよ。」
福村は湯之原の背中を叩いて、催促した。しかし、歌うのは湯之原は苦手らしく、「俺はカラオケはいいよ。」と手で拒否した。福村は飲み物も二杯目を注文するようになって、多少、いい気分になって来た。
「ところで、由梨花さん。湯之原に相談してスマホの問題は解決したの。」
提案したレクレーションの話が一向に具体化しないものだから、福村は話題を原点に戻した。
「相談したんですが、結局、何がなんだ、分からなくなりました。」
由梨花が思案顔で言った。だが、手元のスマホをしっかりと握っていた。このチャンスを待っていたのか、湯之原は改めて行った。
「東条さん。どうですか。今後の研究と器機の分析のためにも、あなたのスマホを預からし貰うわけにはいきませんでしょうか。」
「ちょっと、無理ですわ。いきなり、言われても困ります。1週間ほど考える時間をもらえませんか。検討だけは、してみます。」
「先輩。もう、仕事の話はよしましょうよ。それより、今日は滅多にない機会ですから、飲みましょうよ。」
福村にはネット上のトラブルなんて問題ではなかった。目の前の二人の女性との対話の方に興味があった。福村はなかなか接触する機会のない経理課の入江美佐子が自分の前に座っている。この機会を無駄にしたくなかった。由梨花にしても、湯之原とのやり取りで胸が痛くなるような提案が出たので、自分のスマホの話題から離れたい気持ちがあった。話題が変わるのは安心であった。しかし、次の話題と言えば、福村の独壇場で、一度4人でどこかへ旅行に行きませんかとか、ボーリングをしませんかと言った遊びの話であった。コンサートはいかがですかとも言った。由梨花に言っているのか、入江美佐子を誘っているのか、焦点を誰に絞っているのか、この点も曖昧であった。こうした話題になると、湯之原は苦手らしく、ただ笑っているだけであった。むしろ、湯之原は由梨花のスマホに発生した異現象に興味を惹かれるらしく、上目遣いで、ちらっと彼女の横顔を見たりした。
「カラオケ。先輩、どうですか。一度、生きましょうよ。」
福村は湯之原の背中を叩いて、催促した。しかし、歌うのは湯之原は苦手らしく、「俺はカラオケはいいよ。」と手で拒否した。福村は飲み物も二杯目を注文するようになって、多少、いい気分になって来た。
「ところで、由梨花さん。湯之原に相談してスマホの問題は解決したの。」
提案したレクレーションの話が一向に具体化しないものだから、福村は話題を原点に戻した。
「相談したんですが、結局、何がなんだ、分からなくなりました。」
由梨花が思案顔で言った。だが、手元のスマホをしっかりと握っていた。このチャンスを待っていたのか、湯之原は改めて行った。
「東条さん。どうですか。今後の研究と器機の分析のためにも、あなたのスマホを預からし貰うわけにはいきませんでしょうか。」
「ちょっと、無理ですわ。いきなり、言われても困ります。1週間ほど考える時間をもらえませんか。検討だけは、してみます。」
アメショ
2018/01/26 06:14:39
プリンターとスマホ。
人間関係
あの~男女のコミケがこれなら、即飽きる。
多分、だから、由香里は断っているのだろう。
それとも。