新怪アウトプッター(18)
業者に続いて福村も部屋から出た。由梨花は駅前にある賃貸業者へ向かった。
「部屋探しに、僕も一緒に行こうか。」
どのあたりに由梨花が引っ越すのか、福村に興味が湧いたが、直感した通り、由梨花は同伴を断った。
「福村君。今日はありがとう。本当に感謝します。けれども、これから探す家は誰にも知られたくないわ。御免、一人にさせて。私、ショックから立ち直れないわ。」
「いいよ。いいよ。気にしていないから、また何かあったら、連絡して。お役に立てるようにするから。」
こう言って、福村はあっさり別れると、業者と二人で電車に乗った。
「今の盗聴器は、外部からの指示でスマホや電気機器を操作できるようになっているのですか。恐ろしいですね。」
「盗聴は違法ですが、器機そのものは違法性を無視して、悪は悪なりに進化してきているのですよ。これからはアイ、オウ、ティの時代ですからね。盗み聞きするだけでなく、内緒で器機を操作するようになっていくのですよ。盗聴器の信号でスマホを動かして、次にスマホを通じて、いろんな器機を操作していく可能性もあります。」
「怖い時代になりますね。電気自動車をスマホで動かすのはいいとしても、盗聴器を使って、スマホを乗っ取り、車庫にある自動車を動かされたら、無人の泥棒ができることになるじゃないですか。」
福村がこういうと、「そういうことも、起こり得ますね。」と業者は答えた。こうした会話をしている内に、福村は、ある不安を感じた。営業に行っているB機械工作所がM社のAI部品を使って『お喋りハット』を考案したことであった。話せるロボット人形や会話できるペットが出てきている時代である。頭に被る帽子にAIを仕込んで、道案内や知識の応援をしてくれるという。こうした新製品の開発は興味があるが、これらの機器を裏で操作する悪漢盗聴器が出回れば、将来のネット社会は、どうなっていくのだろうと福村は恐怖を感じるのであった。
アメショ
2018/01/28 09:38:56
業者なら、仕方ないけど。
優しい男って、嫌いです。
「自信がない!」と、取ってしまういます。
あとは、したごごろ。どんかん。
やはり、男子は少し、威厳が欲しい。