映画で想い出すのは・・・

　皆さんは　このフレーズ知ってますか？
　　ご存知の方は　覚えていますでしょうか　・・・

「いやぁ、映画って本当にいいもんですね～」

そう　今は亡き　水野 晴郎さんです。

　僕が撮影の仕事　駆け出しの頃に
　　とあるCMの撮影でご一緒になったのが
　　　晴郎さんとの出会いでした

　CMは　大根おろし　がチューブに入っていて
　　当時では初の商品　そのCM撮影で起用された
　　　晴郎さんでした　リハーサルを数回行い

当時、僕はカメラアシスタントからクレーン操作に
　昇格して　まだ慣れぬクレーンの操作係りでした

CMの撮影はスタジオには監督、スタッフの他に
　企業のスポンサーさんのお偉方も来ていて

普通の撮影でも特殊な雰囲気なのに
　CMならではの緊張がスタジオに張り詰めます

リハーサル、カメラリハーサルと流れ
　一旦休憩となり　僕は、まだまだ上手く出来ない

クレーンの移動を休憩時間に　ひとり練習していたら
　晴郎さんが楽屋から　ひとり　スタジオに戻ってきて

僕の練習を観ていました　すると　・・・
　　僕も　少し練習をしたいので　一緒に　と言うのです

えっ？　驚きました　普段　撮影で　めったに
　役者さん　芸能人に　声をかけられるような事は
　　そうは　ありません　

まだまだ未熟者のプロとは　言えぬような若者の僕に
　晴郎さんが直接　声をかけていただけるなんて

とても　一緒に　練習など　丁重に　まだ駆け出し
　なんで　と　お断りし　声をかけて　くださった事に
　　　ありがとうございます　とお礼を言うと

晴郎さんは　あの笑顔で　いやいや　僕も未熟者です
　さぁ　一緒に　練習しましょうと　とても優しく
　　言ってくれたのでした　・・・

急遽　ご本人との練習となり　ただのクレーン移動だけの
　練習ではなくなり　カメラマンもクレーン乗車しての
　　本番さながらの　リハーサル練習になりました。

晴郎さんは　あの金曜ロードショーで解説で観るままの
　耳たぶが　大きくて　恵比寿様のような　お顔で
　　　とっても　優しい口調でした。

何度も　真剣に　位置は　これでいいでしょうか？
　こんな　駆け出しの未熟者の若者に丁寧語で

　僕の練習に　お付き合い　してくださったのでした。

映画でもTVでも　沢山のスタッフが協力して
　撮影が何度も　時間をかけて　行われ出来上がる事

そんな大切さ　一番　映画を愛し　その大切さ　を
　知っていて　大切に思う気持ちのある晴郎さんは　

駆け出しで　練習している僕に　自然に声をかけ
　大先輩の方と同じように僕に接してくださった事

晴郎さんの
　　　「いやぁ、映画って本当にいいもんですね～」

　その言葉には　単に映画の作品に　あらず
　　　製作する行程も　全て含めて　素敵な事だと
　
　そんな　言葉に　僕は　思うように　なったのでした。

　僕にとっては　とても　貴重な経験でしたけれど
　　ほんと　映画　って　いいもの　です　＾＾


　　　　　　　　　Ｄｒｅａｍ ｓｔａｒ　☆