おすがり地蔵尊秘話(8)
「お父さんの意見は伺いました。その旨、優子とお母さんに報告します。」
こう言って、前島健太が腰を上げたので、私は、妻の秀子の実家の相続のことが気になったので質問してみた。
「あのさ。秀子の実家の弟から連絡はなかったか。」
「ああ。お母さんの実家の方で何か、揉め事があったようですね。けれども、私は直接に何も聞いていません。優子が言うには、叔父さんにあたる古川静次さんの自宅も借金の抵当に入っているから、引っ越しをしないといけないらしい。こんなことを話していましたね。お母さんは、実家の弟さんのことでも、悩んでおられるようでしたね。」
「やっぱりな。俺との揉め事よりも、実家の弟との確執の方が、悩みの種として大きいのだろうよ。あれやこれやが重なって、頭の整理がつかないのだろう。まあ、何だな、俺が家を出て、しばらく田舎暮らしをしてみるから、その間に秀子も冷静になって考え直せば、雰囲気も変わってくるだろう。それにしても、優子も何だな、自分の親のことで心配なら、健太君をよこすのではなく、優子が直接にくればいいものなのにな。」
玄関に向かった健太の背中に向かって、私は皮肉交じりに言った。
「今、受験シーズンでしょう。それで、成績を上げなければ、塾の生徒だって逃げて行きますので、優子も気合を入れているのです。新築を買ったから、ローンを払っていかなければならないという意識が強くて、塾の方に集中しているのです。お父さん、お母さんの意見の違いを軽く見ているわけではないと思います。」
「君らの気持ちは分かった。要するに、田舎暮らしができる適当な家が見つかったら、君に連絡するから。優子と相談して、お母さんを、この家で生活させてほしいのだ。これだけは頼んでおく。家に帰れば、長年住み慣れた家だし、気分も変わってくるだろうから。ねえ、分かった。健太君、頼むよ。」
「分かりました。やっぱり、来て、よかったです。」
前島健太が帰ってから、パソコンで田舎暮らしを検索した。すると、いろんな田舎暮らしのホームページが沢山見ることができた。地方の自治体が、町おこしと人材確保のために多彩な企画を出していた。私は会社勤めをしていた時から田舎暮らしに憧れていたから、この時こそチャンス到来と意気込んだ。
アメショ
2018/02/09 16:10:08
受験で悩む前に、私は、「登校拒否」を起こしましたよ。
で、2月3月は、運勢的に、絶対に、受験しても、落ちるので、
推薦入学した。という、あまあま娘です。
30年も前ですが。