ごま塩ニシン

おすがり地蔵尊秘話(9)

自作小説

 ホームページを見て、電話をかけてみたが、やっぱり、遠い他府県は何かあった場合を考えると敬遠したくなった。発案と実行が一致しないのが私の悪い点である。妻の秀子からも、軽くみられる要素である。これは間違った見解ではないから、とやかく言われようが直らない。そこで電車で急行が止まる駅ならば、行き帰りに不便はなかろうと、家を出て駅に向かった。歩きながら考えていると、今やネット時代であるから、わざわざ電車に乗って探しに行かなくとも、駅前の不動産屋に寄って、希望条件を言えば、ネットで探し出してくれないかと考えた。ころころと方針が変わるのも、私の性格からきている。自分で自身を納得させながら、不動産屋のドアを開けていた。事情を説明すると、二十歳代の青年がデスクのパソコンをパラパラと検索して、これはどうですかと言った。彼はパソコンの向きを変えて、私に建物の写真を見せてくれた。
「離れみたいな、いい感じですね。」
「そうです。おっしゃる通りです。去年まで、この家のお爺さんが住んでおられました。夏に亡くなられて、放置しておくのも、もったいないと言うことで、息子の奥さんが、誰かに貸したいということで、登録されているのです。これは、わが社独自の登録物件なのです。」一息入れて、青年は続けた。
「部屋は一間しかありませんが、トイレ、風呂、キッチンが付いています。一人で生活されるのには十分ですね。家族向きではありませんが、のんびりと一人暮らしがしたいという方なら、貸すそうですよ。ただし、面接してもらって、奥さんの了解が必要です。つまり、面談ありということです。今時、珍しいケースです。」
「ほー。そうですか。」
 私は映像を見て、気に入ってしまった。一間だけしかない部屋から庭に向かって写真が撮られていた。よく見ると背景が小山のようで、この山の斜面が借景になって、まるで寺院の庭園のように広々と見えたからである。春に写真を撮ったのか、枝垂れ桜があって、雪見灯篭、神社にある石灯篭がある。庭には苔が踏み石に生えている。石の置き方も、S字型に並んでいて、しゃれた置き方である。こうしたロケーションが気に入って、私は借りたいと言った。
「一度、家主に連絡を取ってみます。もし、家におられて、来てもらってもいいというのであれば、案内します。」と青年は言ってくれた。
 私は挨拶代わりに渡された名刺を掌にのせ、名前の文字を反復した。営業主任・横谷伸介と印刷されていた。

  • アメショ

    アメショ

    2018/02/11 09:09:52

    不動産の話ですか。

    駅近をやはり考える。

    そいから、ネットはあくまでも、「使うためのモノ」

    そいから、160センチですか。

    ウドの大木な奴も、OL時代、五万といたぜ。(指示しないと、なんにもしない!。馬鹿。