ごま塩ニシン

おすがり地蔵尊秘話(28)

自作小説

 昨夜は飲み過ぎた。夜中にトイレに行くこともなかったが、念仏を唱える声で私は目覚めた。一瞬、お寺の本堂で寝ているような錯覚を覚えたくらいだ。
「おん かかかび さんまえい そわか。・・・おん あびらうんけん ばざら だとばん。」
 真言を唱える声が耳元から顔全体を覆ってくるようであった。何だろうというのが正直な感想であった。だが、意識が朦朧としていたから、まだ眠りから覚め切っていなかった。まさか、庭に座っておられる地蔵さんが呼びかけているのではないだろうか。そんな筈がない。地蔵さんが話しかけてくるわけがない。それにしてもと、私は大きく寝がえりをうって上半身を起こし、耳をそばだてた。
 「オン カカカビ サンマエイ ソワカ。」(地蔵菩薩の真言)と聞こえる。この時であった。庭に面した硝子戸が微かに動いたのであった。私の神経は本当にピーンと鉄線のように緊張した。

  • アメショ

    アメショ

    2018/03/14 06:32:21

    多分、私、「念」は強いね。そー思う。

    あと、高いフクロウ!を部屋に置いておきたい。仏像ではなく。

    それから、写経かな。