麒麟

麒麟

♪♪♪ ...の庵 ♪♪♪

Swan

小説/詩

醜い 醜い 誰にも見られたくない
 廻りからも笑われ蔑まれ
   其れでも其処でしか
    生きる術が無くて

周りは同じような姿で私だけが違う
 だから 苛められる
  認めて貰えない
  群れってそういうものなの

 羽が伸びた 首が変わった
  姿全体が変わった
 今なら判る 私は取り換えっこだったのだと

 本当の群れが飛来した
 オドオドしながらそちらに向かった
 若く此れからの私は快く受け入れられ  
  新たなる子孫を残すべく
   貴重な戦力の一つに組み入れられた

 私を育ててくれた義の母 義理の兄弟
   さようなら 本当の群れの中で
    やっと安心して過ごせる
     此の幸せは壊したくないの

 遠くまで飛翔したことのない私は
  今の群れの中でとても鈍いけど
  苛められる事もなく又若さがものを言って
  大切な存在と大事にしてもらえた

   皆が望んだ地で 相方も出来て
    自分の卵を温める至福にいながら
     ふと 思った

  何故私は 別の種族の中に紛れていたのだろう?
   私の親は今どうしているのだろう?
   番と居てくれる相方も
   稀有に生き延びた私を大事にしてくれ
   私の中に在る困惑にも広く受け止めてくれている

    せめて...
     私達の卵が
      生き延びる術で
       他の種族に頼むしかないのなら

  私は私の親達がしたように
   きっと同じ事をしただろう
   
   愛すべきものに盲目になりながらも
   自分を厭わない
   無理と無駄をきちんと把握する
   故に 1%の可能性でも託す


  自然界の掟は 其れさえも甘い
   私が生き延びたわけを
  知るすべはないけれど 少なくとも
  本当の群れの中でなら
   今まで辛くいた自分が
   穏やかになれていると
   本当の安らぎを得ている事は否めない