Swan
醜い 醜い 誰にも見られたくない
廻りからも笑われ蔑まれ
其れでも其処でしか
生きる術が無くて
周りは同じような姿で私だけが違う
だから 苛められる
認めて貰えない
群れってそういうものなの
羽が伸びた 首が変わった
姿全体が変わった
今なら判る 私は取り換えっこだったのだと
本当の群れが飛来した
オドオドしながらそちらに向かった
若く此れからの私は快く受け入れられ
新たなる子孫を残すべく
貴重な戦力の一つに組み入れられた
私を育ててくれた義の母 義理の兄弟
さようなら 本当の群れの中で
やっと安心して過ごせる
此の幸せは壊したくないの
遠くまで飛翔したことのない私は
今の群れの中でとても鈍いけど
苛められる事もなく又若さがものを言って
大切な存在と大事にしてもらえた
皆が望んだ地で 相方も出来て
自分の卵を温める至福にいながら
ふと 思った
何故私は 別の種族の中に紛れていたのだろう?
私の親は今どうしているのだろう?
番と居てくれる相方も
稀有に生き延びた私を大事にしてくれ
私の中に在る困惑にも広く受け止めてくれている
せめて...
私達の卵が
生き延びる術で
他の種族に頼むしかないのなら
私は私の親達がしたように
きっと同じ事をしただろう
愛すべきものに盲目になりながらも
自分を厭わない
無理と無駄をきちんと把握する
故に 1%の可能性でも託す
自然界の掟は 其れさえも甘い
私が生き延びたわけを
知るすべはないけれど 少なくとも
本当の群れの中でなら
今まで辛くいた自分が
穏やかになれていると
本当の安らぎを得ている事は否めない