ウイルス戦争 神は死んだ

妖刀 さゆき

merchu(メルチュ)

入れ歯はどこに行った。

日記

これで何回目か一々数える事もないので、最早わからない。
祖母の入れ歯が無くなった。
なかなか食べてくれないので、祖母の食事は長時間に及ぶ。
「もうご飯えーかー」と問うと「まだ食べとんのに」と言うので延々と食べ物を片付けられない。
二階に上がって 金正恩の妹の同級生達が地方に左遷された という報道をネットで見て困惑した後、祖母に入れ歯の在り処を尋ねると
「かたっぽ、無いわ」と事もなげに言う。
祖母が食事中、入れ歯を取り出しテーブルに置いたのだろうけど、すでに片方なくなっていた。
あるのは上の入れ歯のみ。
祖母は台所とトイレの間を時々往復するから、台所からトイレの間で入れ歯を放置したのだろうか。
台所の食器棚、流しの引き出し、冷蔵庫など入れ歯の隠し場所には苦労しない。

この為、入れ歯を探すのだけどサッパリ分からない。
もしトイレに流していたとすれば回収は不可能だ。
ゴミ箱だろうか。
ゴミ箱のゴミを全部、他の袋に入れ替えたけど入れ歯はみつからない。
こっちが必死に入れ歯を探しているのに祖母は知らん顔。
祖母は今まで一回も自力で入れ歯を探し出してくれた事はなかった。
結局、私が見つけないと祖母の食事で難儀する事になる。
引き出しや戸棚を開け閉めしていると「そんなトコ置かへん」などと祖母がツッコミを入れる。
自分が紛失したくせに「そんなトコあらへん」などと言われたところで何の参考になるだろう。

うーむ、困った。 見つからない。
町内会の配布物があるので、それを配りに出かけることにした。
あとは銀行に行って「毎年やっている、我が家の納税書類のコピーはしないのか」と問い合わせた。
すると、係の者が「書類を貸してください」と早々に我が家に来た。
「前任者との間で引き継ぎができていなかった」などと言っているけど去年の前任者も納税書類のコピーを取りに来るのはかなり遅かった。
銀行によると4月中にやる仕事という話だったけど今まで4月に納税書類を取りに来たことは一回もなかったように思う。
大抵、それ以降の中途半端な時期に、思い出したように取りに来ていた。
ともかく書類を渡し「コピーするだけですから」と言いながら、再び持ってきたのは3時間後。
それで書類の受け取りに祖母のサインが要ると言いやがった。
慌てて祖母にサインしてもらう。
面倒なこと、この上ない。
3月に納税申告しているのだから、もう口座から税金は取っているだろうと連休前に現金を下ろしたのだけど、その日の内に納税額を知らせる封筒が届いた。
「今月中に一回目の引き落としをする」と書いてあった。
迂闊にも結構な金額を引き落としたから残金で納税額は足りるかな。
足りなければ督促状が来るので、それを持って銀行で納税すれば良いだろう。
それにしても銀行からお金を引き出した日に税額を知らせる封筒が届くとはなぁ。間が悪い。

二階に上がって ノートルダム寺院の防火体制が規定通り守られていなかった という報道をネットで見て困惑した後、祖母の入れ歯捜索を再開。
結局、祖母が座っていた位置から離れたテーブルの下に入れ歯が転がっていた。
蹴飛ばさないと、ここまで転がりはしないだろう。
恐らく入れ歯を落として探そうとした時に祖母が入れ歯を蹴ってテーブルの奥まで転がったのだろう。
まったく困った年寄りだ。
入れ歯を落としたのなら落としたと言えばいい。
祖母が入れ歯を落としたことを、すぐに忘れてしまう。
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暑い日が時々あるので扇風機を回すのだけど、安物だから常時通電させる訳にいかない。
テーブルタップをモニターの直下に設置して気軽にテーブルタップのスイッチで扇風機が動くようにした。
実は1年以上前からテーブルタップをモニターの下に固定しようと何度も思っていたのだけど、
手を伸ばせば届くから、という訳で先延ばしになっていた。

とうとうテーブルタップをモニターの下に設置することにした。
モニターを置いてある台に薄い金属板をぶら下げ、小さな板の一方を木ネジで固定する。
さらにキーボードを置いてある台と小さな板の一方を薄い金属板で固定する。
半分ぶら下がっている板にテーブルタップを載せれば、工事完了。

パソコン周りの機材で一工夫すると、ちょっと楽しい。