セカンド

秋祭り (復興)

小説/詩

すすきの穂と一緒に
ゆっくりとあの海が後ろへと流れていく

雲は海にのしかかり
ウミネコが空をはう様に飛んでいた

風は潮の香りに満ち
遠く下北半島が紫色にかすんでいる


駅に降りると風が冷たく頬に当たる
ふいに遠くから祭りばやしが聞こえてきた

秋の恵みは
彼らにどのくらい分け与えられるのだろうか

そんな中幼子が母親に手を引かれ
わたしの前を通り過ぎて行った

「わたしが獲ったのよ」とも言いたげに
目が合った私に微笑みながら

金魚すくいで取った物だろう
赤い金魚が入ったビニール袋が揺れている

あの少女もあの金魚も
この街に与えられた恵みなのかも知れない


ふいにどんよりとした曇り空の切れ目から
光が漏れた

駅の周りが明るく照らし出された
少女と母親の歩く影が黒く舗道に映った

二人の影
その黒さに生きる力強さを感じた


復興のさなか
祭りばやしが流れてくる

海風は冷たく
だがさらに気持ちが良かった



ちょっと感じが重たいですかね
出だしに合わせたらこうなってしまいました^^








  • セカンド

    セカンド

    2019/10/13 10:43:18

    のりかん様

    昔、学生時代に友達と東北旅行をしました

    その時の思い出に
    今の震災後の姿をミックスしてみました

    金魚すくいをした子供は
    その時は生まれていなかった

    復興と力強い東北の人たちの
    姿をダブらせてみたのですが・・・

    ちいさな幸せって
    見つけると楽しいです

  • のりかん

    のりかん

    2019/10/13 04:25:27

    いいですね~
    情景がうかんできます^-^
    感じること
    生きてる幸せ。。。