「さくら亭」日報

あずみ

毎日のお着替えやマイルームの改装等、主にニコッと内のできごとを綴ります。

【改装】柘榴の館

マイホーム

これは私が曾祖母から、その母(私からすれば高祖母)の幼い頃のことだと聞いた話だ。


当時、地方で農家をしていたらしい家族の元から
たったひとり、見知らぬ屋敷に連れていかれた。
家は貧しく、兄弟姉妹も多かったから、売られたのかもしれない。

一面の雪景色の中、その館の塀のうちには沢山の柘榴が植えられていた。
季節を嘲笑うかのように、花と実を抱いて。

幼い少女が連れてこられたのは人里離れた山中の館。
広大な、時代を感じさせるどっしりとした母屋は
磨きこまれた廊下や家具にもかかわらず、どこか暗い。

少女に与えられた部屋は分不相応に広く、
珍しい洋風の天蓋付きの寝台や長椅子が
本来の和室にはどこかそぐわない。

そして、よくよく見てみれば、部屋の中でもそこここに柘榴が主張する。
その花は血のようにあかく、
その実は、鬼子母神の伝説を思い起こされるように人の味がするのだろうか。

館の中にはひとの気配もない。
それなのに視線がつきまとうように感じてならない。

いっそ誰かに会えれば安心できるのではと、
恐る恐る館の中を歩いてみる。
灯りも乏しく、どこもかしこも暗い。
屋根裏には格子の入った無人の部屋。
地下の廊下の果てには鍵のかかった大きな扉。
数多の柘榴を抱く庭には淀んだ池と朽ちかけた小さな社。
どこを見てもわびしさが募るばかり。

館に中で多少なりとも明るく、暖かいのは少女に与えられた部屋のみ。
仕方なく部屋に戻ると、ストーブで暖められているはずなのに
寒さが一向に薄れない。
この屋敷が恐ろしい。
この部屋も恐ろしい。
柱の陰、天蓋の中、障子の向こうに何かが潜んでいるようで。
そして朝は、いつになったら訪れるのだろう。
この永遠に続きそうな黄昏の場所に――。






ずっとこういう調子で書くのに飽きました。
種明かし(?)として、実家の近くで遊んだことのある子犬
だと思っていたのが実は山神の子供で。
その縁で山神に助けられて屋敷を脱出。
人里で無事保護されます。
ただし、自分の家も屋敷もどこにあったか分からぬままで
奉公先を世話されて大きくなって…
とかの経過ののち家庭を持って子供を授かり、
やがてその子に話してきかせるという。

屋敷の正体も目的も不明のままです。
だからこそ、いつまでも記憶から消えないという。
時代背景として明治の中頃のイメージ。

頂きものの「懐かしのお着物」をようやく使えました。
この裾の短さが使い勝手悪いのなんの。
エプロン着用でお嬢様ではないことを主張。
普段の猫娘では楽しそうすぎるので
一体型フェイスの「うるうるアリス」使用。

連れているのも、足元にいるのも狼。
狼(おおかみ=大神)で神に通じる、
というか神として信仰されている所が現在でもあります。
近かったら行ってみたいですが、奥多摩かどっかだったような。
加門七海さんの本にありました。
まあ、ウルフガイに嵌った当時から狼は特別な動物です。