セカンド

花筏 (はないかだ)

小説/詩

 

桜の木が恋をしました
ある街の海の見える高台にある若い桜です

名前は桜夫

恋をされたのはすぐ隣の小さな桜の木

その名前は桜子

彼には思いを伝えるすべがありません

そうだ
彼は思いを花びらに託して伝えます

散っていく花びらはいかだとなって
清流を流れていきます

花いかだはそのまま海へと流れていきました
海はにこやかにほほ笑みました

次の日遠く水平線に文字が現れました
それは植物にしか見えない文字です

その時街の人々は
海の彼方に蜃気楼を見ました

はるか彼方の海に揺れ霞む小さな街を
珍しい出来事として見ていました

その中に桜子は愛のメッセージを
見つけました

思いは伝わりました
桜子は同じように花びらを散らしました

流れてきた淡いピンクの花いかだを
海は前よりにこやかな顔をして波にそっと隠しました

次の日も海の彼方に蜃気楼が現れました

それを見た街の人々は
なぜか明るく楽しい気分になりました

なんて今日は気持ちが良い日なんだろう
心地よく春の風が吹いています

その風の中
桜の枝と枝がそっと触れあいました

その瞬間たくさんの幸せの花びらが風に舞い
街へ海へと飛んでいきました


昨年もアップしましたが13年の4月に書いたものです
自分で書いたものはほとんど忘れています

いくつかの物は覚えているので
その季節になると登場します

今回はちょっと微妙に変えてみました^^


  • セカンド

    セカンド

    2020/03/28 01:33:21

    粋生夢詩 様

    結果的にハッピー的な詩を書いてしまいます
    自分の癖?理想・なのかも知れません

    海辺の近くの小さな町の出来事
    そこで生きている人は素朴で善人

    そんな感覚に直ぐなってしまいます
    頭が単純なせいかもしれません^^

  • 粋生夢詩

    粋生夢詩

    2020/03/27 07:48:47

    素敵な詩ですね^^
    恋が二人(?)だけで終わらず
    街中を幸せにするなんて良いですね。
    大変な時期ですが、セカンドさんの言葉は
    花筏で流れていく花びらのようです。