大潮

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「与える」が「くれてやる」とは恐れ入る

日記

玉ねぎさんがいうように
「与える」の意味が
「くれてやる」とはあんまりな
これが辞書の語釈とは恐れ入った
「デイリーコンサイス国語漢字辞典1996年三省堂)」

辞書マニアの大潮です
滅法刺激されまして
うちにある「新明解国語辞典第二版1974年2版三省堂」で引いたところ
『相手の欲するものをくれてやる』となっている。
やっぱり三省堂は「~くれてやる」です

三省堂よ、いやさ金田一京助よ、これでいいのか?
と、言っても図書館は感染対策で閲覧できない
これではいろんな辞書にあたれない
そこでブックオフで探すこと何冊か

見つけました
変わっていました

「新明解国語辞典第五版2000年21版 三省堂」
『プラスになるものを、相手方のものとなるように仕向ける』
あ!上から目線とけんか腰がなくなっている~

この辞書の平山郁夫画のケース見覚えがあります
買おうか買うまいか迷ったときは買わないと決めているため
買わなかった辞書です
2000年に話題になった
内容を一新したという辞書です
このときに変わったかどうかは
図書館を利用できない今回は調べられませんが
「与える」という語を二版と五版の間に
書き直ししたんですね

「くれてやる」と言われたら
「いらねえよ」と応える気分が
これで少し柔らかくなりました

だけどさ気に入らない
「仕向ける」ってあくまで上から目線
辞書ってそんなもんか?って疑問がさざ波のように残る
こういうときは
「与える」の探索を進めよう

類語には「授ける」「上げる」「与るーあずかるー」「関わる」などがある
対語は「受ける」「もらう」「いただく」などになる

なるほどだが、何かものたりません
これでは「くれてやる」が大意なんだろうにおちついてしまいそうだ
違和感がまだぬぐえません
例えば「与えあう」という言葉には所有物を相手に移す対等性というものが
あるが、この意味合いに「くれてやる」は違和感がありすぎる

そこで、次にあたったのが白川静「常用字解」2003年初版平凡社

「与える」の「与」の元は「與」であり
象牙2本を合わせ、それぞれ左右の手を表す臼と升の字を配し
左右の手で象牙のような貴重なものを支え運ぶ形となる
共同で運ぶことから「ともにする、なかま」の意味となり、
運んで他に移すので「あたえる」の意味となる
(注意:略は大潮です)


辞書はおもしろい
版数でも刷版でも変る

「語」は時代によって変り
前の時代にさかのぼって行くときのスリリングな気分
ミステリーを追うような面白さ
ひとつの「語」の歴史をたどると
正反対の意味になっていたりする
言葉は生き物です


***************

「デイリーコンサイス web版」は
未だに「くれてやる」となっています

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  • ぱるむ

    ぱるむ

    2020/04/25 23:16:08

    はじめまして。
    たまねぎさんのブログから、ついつい面白そうなんで見に来てしまいました。
    言葉は面白いですね。
    確かに今の時代なら与えるという言葉から、くれてやるって発想はないですよね。
    でも、もともと昔は与えるって言葉には、くれてやるってイメージが一般的に共有されていて、
    時代とともに与えるの意味がマイルドになってきたんだと言うことかもしれませんね。

    言葉は生き物と言いますものね。
    時代とともに意味も変われば解釈も変わるの、いい例ですね。

    そういえば、辞書マニアっていうのも凄いです!^^

  • 大潮

    大潮

    2020/04/17 19:10:41

    「くれてやる」
    と言われたら
    「もらってやる」のほうが素直だね
    『与える』が
    上から下へ使う言葉という展開になっていく過程を
    調べたら3年ぐらいかかりそうだなあ

    とりあえず、現代の「与える」の続編を書いてみよう

  • ケイト☆

    ケイト☆

    2020/04/17 10:09:16

    元々与えるって上から下へのものだと思うんだ。
    だから上から目線なのは仕方ないかも、

    プラスになるものを、相手方のものとなるように仕向けるって
    なんのことやらですよ。

    最近は下からもらってあげるwwなんて言葉も出没しているくらいです。怖い怖い。

  • 大潮

    大潮

    2020/04/12 20:03:29

    玉ねぎさん
    「与える」面白いですねえ

    時代を追って調べると
    もっとおもしろいかも
    家父長制と関係するのではないか?
    そうしたらもっと面白いのになあ


  • たまねぎ

    たまねぎ

    2020/04/12 18:56:27

    すごい!歴史ドキュメンタリーのよう!
    ほんとに「くれてやる」と言われたら「いらねぇよ」ですよねっw
    同じ三省堂とはいえ、他の辞書でもまさか「くれてやる」が採用されていたとは驚きです。
    時代に合うように少しずつ変わっていてよかったですが(ただしデイリーコンサイス以外w)。
    大事に運んで移すという概念、とってもいいですね。
    与える物もいろいろあるけど、愛情とか癒しとか安らぎをくれてやると言われても
    全然癒されないし(笑)
    そういうものは、大事に大事に運んで相手に渡すもんですよね^^