2~気の強いお姫様~
あるところに、大変気の強いお姫様がいました。
おばあさまは王様の妹姫であった方であり、王家の血の濃い、男性であれば王になる可能性もあるご身分でしたが、女性であるために、王位継承権はありません。
お姫様はそこのところがご不満でした。
今の王様には、文句はありません。
母上の従兄弟でいらっしゃる王様は、ご気性も度量も、王にふさわしいお方です。
しかし王妃様との間にお子様はできず、他の女性に子を産ませる、という考えもないようです。
王家の血を残すという義務を果たさないという点ではマイナスポイントですが、単純に女性として考えた場合には嬉しいなさりようでもあり、姫にとって王様は敬愛するおじさまのような存在でした。
王妃様も素晴らしい方であり、養子に迎えた遠縁の子を可愛がっていらっしゃいます。
そう、その王太子!
それが姫のご不満の元なのでした。
よく言えば優しい、悪く言えば優柔不断で気弱な王太子が、姫は気に入りません。
小さなころは時々一緒に遊んだものですが、宰相の娘とばかり仲良くしていて、姫のそばにはあまり寄ってこなくて、苛々させられました。
使用人の子と打ち解けて遊ぶ、というのも姫には抵抗があり、王宮の森にはあまり足が向きませんでした。
誰かが怪我したりすると、その誰かよりも王太子が痛がって泣くのに到っては、不可解としか言いようがありません。
そんな少年が大人になって、立派な王になんてなれるのかしら?と子供心に思ったものです。
どう考えたって、あの子より自分のほうが王に向いているわ、血だって私のほうが濃いし、なんで女は王位につけないのかしら、という考えが、幼い姫の心中に芽生え、それは大人になっても消えることはありませんでした。
美しい娘に成長し、姫はご結婚を考えるお年になりました。
血筋から言って、お相手はどこかの王族以外考えられません。
自国の王族とのお話もありました。
なんだかんだ言っても姫様は自国を愛しています。
どうしてもとお願いされたら、考えてやらなくもないわ、というスタンスでいた姫様のもとには、いつまでたっても王太子が求婚に訪れることはありませんでした。
王太子のご婚約のうわさを耳にした姫は、思いました。
そう、やっぱり私よりあの子を選ぶのね、と。
王太子のことなど好きでも何でもなかったはずなのに、心のどこかにひびが入ったような気がしました。
姫はそれ以上そのことを考えたくなくて、体調不良ということにして、王都から離れた別荘に静養に出かけてしまいました。
気分がすぐれないからと、降りかかる縁談をかわし続ける内に、王太子の結婚、王の崩御と王太子の即位、王妃の出産が立て続けに起こりました。
慶事と弔事に次ぐ慶事と弔事…王妃が亡くなりました。
悲しみに沈む王と王国を救うべく、若い王に、新たな婚姻を周囲は望みます。
一度は白紙になった王太子…今は王様です…と姫との結婚話が、再び持ち上がりました。
ゆうまF
2020/08/10 19:44:59
細かい心情描写
うふふ(*'▽')ほんとツンデレね
チャイ
2020/08/05 19:47:08
これはツンデレなお姫様。。。可愛い~^^
凛
2020/08/04 15:59:43
さすが本を読んでる人の文章は違うなあ
続き楽しみにしてます♪