あの空の遥か遠くの世界で
あの空の遥か遠くの世界で
人生とは 何だろう ・・・
同級生の旦那さんが癌の告知を受けた
その事を嫁である 同級生から聞かされた
肺癌 ステージ4 余命1年
検査入院の結果 すでにリンパに体中に癌が
膵臓、肝臓、骨までにも転移している
務めてた会社を休職して当面は抗がん剤治療
夫婦には子供はいない
つい何年か前に住み慣れた埼玉から実家の群馬へ
新居購入、家を建てたばかりだった ・・・
その頃、好きだったタバコも辞めて節約し
親孝行も兼ねて新居も実家に近くで
少しばかり痴ほう症も始まりかけた父親の面倒を
心優しく 見守っていたのだった
私の両親は 二人ともすでに他界している
二人とも癌の病で この世を去ってしまった
同級生 (彼女)は 今 どんな思いでいる?
私は、過ぎ去った あの頃を思い出す ・・・
病に戦う姿 それを支える家族 親戚
主治医からの宣告 わずかな希望を抱え
私は 一番 辛いのは 本人であり
悔しいだろう 辛いだろう 無念だろう
私には 何が 出来るのだろう ?
何を考えても 自分が ちっぽけで無力な事
何も出来ない してやれない 助け られない
泣いても 悔やんでも 何も変わらない
時計は 止まらずに 病の進行は進むばかり
泣かずに 笑顔で接するのが辛くて
仕事の忙しさを理由に ・・・
病院に しばらく通う事をしなくなったりした
もう お別れの期限がカウントされる日々
いつ? 最後の覚悟をしなければいけないの?
人の人生って こんなにも儚くも終わりに
正直に言って 病で痩せ 声も変わり
日に日に変わる感情や状態を身近で見るのは
とても残酷で辛かった
わずかな希望も虚しく 病は進行し
あっけなくこの世から消えてしまった
実の父親 母親が 他界しても私には当時
現実として実感が受け入れずに 葬式を終えて
幾たびか季節が変わり 時を過ぎ
何かある度に そうだ!
知らせてやろう 聞きたい 報告したい
相談したい あっ! そうだ もう
この世には いないんだ ・・・
不思議な事に 病の宣告 看病 他界
あの時の悲しみ 泣いた 涙 より
1年後 2年後 5年後 10年後 ・・・
今の 涙が 当時より 胸の奥底から
込み上げてくるのだ ・・・
夢の中に登場する両親は 若いままで
私の心配や 応援を いつも してくれる
お父さん お母さん ありがとう
僕を 産んでくれて ありがとう
もう直接 報告も 相談も出来ないけど
私の胸の奥に いつも両親は いる
こんな時 父さんなら 母さんなら
きっと こう言うだろう
答えなんか 知っている
幼い頃から 十分 教わり 言い聞かされた事
目を閉じれば そこにいる
耳を澄ませば 聞こえてくる
けして 忘れたりなんかしない
あの声 あの笑顔
あの空の遥か遠くの世界で
私が自分の気持ちに負けそうになったり
弱音を言い出す頃 いつも見ていて
目を細めては 何も語らずに微笑み
私を見守って いてくれる
いつかは 私も そちらの世界へ
旅立つ日が 訪れる
だから 毎日を大切に生きよう
どんな事でも 楽しもう
同級生の彼女の気持ち すべてを
私は 理解は してあげれないけれど
心の支えになって あげたい
どんな事でも 聞いてあげたい
相談して欲しい ・・・
そんな時って
話を聞いてくれる人って必要だよ
もう 心の準備は 出来ているんだっ
そう彼女は 言う けれど
可能なだけ 旦那さんのそばにいて
出来るだけの優しさ あげようよ
夫婦なんだろ