今ね、ヘンな人が来ました。
もう、事務所を閉めて中でPCを触っていたのですがね、
いきなり、見知らぬ人が引戸を開けて入って来て…
「タクシーを、呼んでもらえんかな」って。

あんた誰よ。
しかも、ここは県道から２５０ｍも離れてるんですよ、
どこから来たの？
「山から」

ぎょえ＝＝＝＝＝－っ！怪談かー！？

なんとまあ、
プレジャーボートのエンジンが止まって、
船を何とか岸に付けたものの、
そこから歩いて山を越えて、タクシーを拾いたい…って。

なんで？
フツー、それは海上保安庁だろう？

「エンジンのダイナモが切れたので、バッテリーを買いに行けば繋がる」
そんなアホな。
で、バッテリーを買いにタクシーを呼べというの？
うちはそんなサービスはやっていません。
第一、タクシーぐらい、スマホで呼べるでしょ？

いや、それよりやっぱり難破してるんだったら海保じゃないの？
ところが、何度言っても「海保は呼ばなくていい」の一点張り。

鈴ちゃんが「もう構うな」というので、お引き取りいただきましたが、
そのあとスマホで、タクシー呼んでました。
何だ、自分で呼べるじゃないか。

鈴ちゃんが言うにはね、
たぶん、海保に捕まるとヤバいヤツなんだそうです。
うん、海には、ヤバいヤツがいっぱい居ます。
難破しようが、座礁しようが、海保に捕まるくらいなら、
タクシー呼んだ方がましって発想がすでに、ヤバい。

「構うな」という鈴ちゃんが正解（たぶん）

夕方ごろ、伝馬船のような変な船が瀬戸に入っていました。
プレジャーじゃない。
たぶん、あれだと鈴ちゃんが言います。

プレジャーだったら、普通はマリーナに連絡するしね。
伝馬船、今どき、これが一番怪しい。
船外機は２００馬力だって。ますます怪しい。

あんたたち、セドリやってんじゃないの？

早々と事務所の灯りを消して、
キャンプ場のお客様達に事情を説明し、大門を閉めました。
普段は、ご宿泊のお客様がいらしたら開けている門なんですがね、
ややこしい人たちが、セドリの荷物を運び出したりしたら嫌なんで。
もう、ぱっきりと閉門しました。

物騒な世の中です。

脚注；セドリ
外国船などが覚せい剤や、密輸品を中瀬戸に入った辺りで海中に捨て、
それを小型ボートで回収に行く手口です。
おもっきりヤバいヤツらが、手を出す仕事です。

怪談より怖い。