【お話】かじりかけのパンを片手に。
不思議な切符が招待状。かじりかけのパンを片手に、旅に出た。踏み出した一歩に、天使の祝福。
もらったステキコーデ♪:14
踏み出した一歩に、祝福の風。
幸いあれ、と。声がした。
手にしているのは、古ぼけた切符。
お師匠さまが若いころに、旅をしたしるし。
ほかの人には、ただのごみ。
でもぼくにとっては、お師匠さまと暮らした時間を思い出す、
教わったことを思い出す、きずなの証。
子どものころ、この切符を見せてくれて、思い出話をしてくれた。
旅の間に出会った物語を、いくつも語ってくれた。
その物語が楽しくて、
考えさせられて、
泣いて、
悩んで、
怒って、
笑った。
旅人としての心構えは、
物語から、学んだ気がする。
だから独り立ちするいま、
この切符をもらってきた。
この先に、何があるのかわからない。
でもぼくは、歩き出す。
かじりかけのパンを片手に、
古ぼけた切符を持って。
ぼくの、ぼくだけの旅路を行く。
お師匠さま。
お師匠さま。
あなたの祝福と祈りと共に、
行ってきます。
***
魔法使いの弟子の出立。
最初のイメージが天使の祝福だったので、絵のタイトルから少し外れてしまいました。
お師匠さまが、元天使だった、みたいな感じでどうかな。