ふわとろ

日曜日のバレンタインデーの思い出

日記

日曜日のバレンタインデーに忘れられない思い出がある

もう何年も前の2月14日の日のことだ

前の日の夜から雪が降りだしたかなり冷えた日だった
その日も今年のバレンタインデーと同じく日曜日だった
しかし仕事は午後から会議ということもあって午前中は遅くまで寝ていた
そして時おり親父の部屋からか携帯の音が聞こえてくる
その時は親父が携帯を忘れたまま外出しているのだと思っていた

そろそろ身じたくを整えようと起きる
親父の部屋が気になったので覗いてみると、そこには服を着たまま布団の上に斜めに横たわる親父の姿があった
服を着たまま斜めに寝てるなんておかしい
そう思い体に触れずに起こそうと耳元で声を掛けたり顔の前で手を叩いて音を鳴らしたりした
これは後で伺うが的確な判断だったようだ

しかし目を覚ますことはなくそのまま救急車を呼ぶ
その車内で会社とめぼしい親族に連絡をする
病院での診察では脳幹出血らしい
たまたまそこの病院に脳の専門医がタイミングよく居合わせていたようで容体が詳しくわかる
脳幹とは脳の中でも生命維持を司る中枢であって、意識はないといえ今現在こうして生きていることが不思議なくらいだそうだ
これが回復することはなく亡くなる覚悟が必要と知る

そうしてるうちに会社の上司から連絡が入った
そして親父さん大丈夫かと尋ねられる
そこで頭ではわかっていることなのだが自分の口で言葉にすることに躊躇してしまう
上手く表現する言葉が見つからず一瞬間を置いたあと、ダメです、いつまで持つかという状況です、と思い付きの言葉で説明する

そして意識を取り戻すことはなく、あくる未明に脳が破裂したようで鼻から血が噴きこぼれる
そこで延命治療をするかここで終わりにするかを医師に問われる
昨日今日の出来事が起こる前までは、脳の死は人の死であり延命治療はすべきではないと考えていた
しかしその場で選択を求められると身を引いてしまう
自分の答えで親父の死が決定してしまうからだ
もしかしたら生きているかもしれないという選択肢を私自身が失くしてしまう

結局は親父は死んだことになり葬式の準備をする
突然のことで右も左もわからないままいろんな決断をその場で求められる

話が長くなってしまったが私の忘れられない日の一つだ