「クスノキの番人」を読んで
今年は、前回にも述べたように読書をしようと決めたので
時々ここで簡単な感想を述べようかと思う。
5冊目の本は、東野圭吾しの「クスノキの番人」。
何となく、櫻守みたいな老人が主役な物語かなというイメージで読み始めた。
しかし、内容は神聖な神社の御神木クスノキをめぐる人々のかかわりを描いたものであった。主人公の若者が、悪事に手を出してあまり付き合いのなかった身内に助けてもらったのをきっかけに、やらされることになった「クスノキの番人」の職を通して、成長する様子が描かれていた。
クスノキへの祈念とは、自分の思いをクスノキに預けておくことができる預念とそれを血縁者が受け取る受念というのがあり、例えばそれは親が生前に預念したものを子が受念するという遺言のような場合が多いが、お互いが生きていても思いを伝えることは可能でもあるという。
満月と新月の夜に行う神秘さと、謎めいた祈念に対する興味でこれも早々と読んでしまった。人間関係の中で生じるもの、信頼、猜疑心、家族愛、偽り、揺れる心境などを通し、最後には優しい思いやりを感じた小説だったと思う。