日本百名山 ~ BSプレミアム ~ ④
こんばんは!3日(金)は、北日本から西日本の日本海側では雲が広がり、
広い範囲で雨が降るでしょう。所により雷を伴う見込みです。
北日本から西日本の太平洋側は概ね晴れますが、朝にかけて、
東北から関東の沿岸部でにわか雨がありそうです。
南西諸島は雲の多い天気となり、所によりにわか雨があるでしょう。
強い台風21号は、フィリピンの東を北寄りに進み、
3日には小笠原近海に進む見込みです。今後の情報に注意してください。
綿毛になった
チングルマ
二つの氷河を横断
いつもとは違う
難ルート
氷河が磨いた頂へ
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立山
〇立山ガイド 多賀谷治さん
国内外、数多くの岩山を登ってきた多賀谷治さん。
秋田県出身の多賀谷さんが初めて立山を訪れたのは21歳の時。
山の素晴らしさに加え、人の温かさに触れたことで、富山への移住を決意。
そしてガイドになりました。
*撮影:9月下旬
前回は一般道を外れ、ヘルメットとハーネスを装着し、
難ルートの最大の難所の手前までの紹介でした。
今回はいよいよ立山の頂を目指します。
「こっから下りますからね~、足元気をつけて来てください」
足元の悪い急斜面を、一気に40mも下るのです。
「あっ」
「よいしょっ、ここで待っててくださいね~、えへへ~ん」
「手摺りのロープ張って~、それで、それに繋がって来てもらおうと思います」
大きな岩にロープを括(くく)り付けます。
「大丈夫だ、よいしょっ。おう。あ~。
ちょっとロープ張ってきますよ。
下の辺も固定して来ますから、待っとってくださいね~、よいしょっ」
最も怖いのが落石。
上に入る人の足元から、石が崩れても、
下の人に当たらないよう、斜めにロープを張っていきます。
急斜面の下には、崩れ落ち、粉々になった岩が散乱。
カタッカタッカタッ♪
〇岩の墓場
多賀谷さんが岩の墓場と呼ぶ光景です。
「よいしょっ、あ~、これじゃあ、あの~、先に降りてください」
安全を確保する為、多賀谷さんとはロープで結ばれています。
「う~ん」
それでも怖い。
「怖いですよね~、何か」
「ここしか無いって。
後は岩がペタンとしてますからね~」
「はい、ここがちょっとおっかないですね~。
は~、よいしょっ」
「よい、ほむに~、よいしょっ」
最後はほぼ垂直。
「良く足場目で見て~、確認してくださいね~」
慎重に足の置き場を探ります。
下り始めて1時間
ようやく岩の墓場に辿(たど)り着きました。
続いて崩れやすい斜面を横切って行きます。
「靴のエッジ効かせて来てくださいね~」
「お~、ド迫力~、うつ」
気の抜けない難所が続きます。
いつもの登山道とは別次元。
「人の造った道を探してんじゃなくて、
どこをどう突破するかを考えるっていうのは、
とても楽しいんだね~、お~」
「あれが御前沢氷河(ごぜんざわひょうが)ですよね~」
ようやく、目指す御前沢氷河が見えてきました。
〇御前沢氷河
2012年日本で最初に発見された氷河です。
雪と氷の上を歩く為、アイゼンを装着。
〇アイゼン
「だら行きましょう」
は~い。
「あの自分で躓(つまづ)かんようにね~。
あの右足と左足、こう拳ぐらい開けてください」
「この冬に積もった雪が、まだ溶け切ってないんですね~。
間もなくこれは~、年越しの越年の雪になりそうですね~」
岩石や岩屑(いわくず)が土手のように堆積していました。
〇モレーン
氷河が削り取ったもので、モレーンと呼びます。
この御前沢氷河、先程の内蔵助氷河に比べ、遥かに広大です。
「広いですね~、何倍もありますね~、こっちはやっぱ。
生きた氷河そのものですよね~」
〇御前沢氷河
幅200m、全長は700mに及びます。
「やっぱ氷河を抱えた山らしい、威厳ありますね~」
「刻々とね~、太陽当たったり、陰ったりで、
変化して~、凄いですよね~、何か。
これは見飽きんわここは」
氷河が流れ落ちる際、脆い部分を削り取り、
硬い所だけが残った険しい岩峰。
この威厳ある姿こそが、立山に対する人々の信仰を紡いできたのです。
「ここは風無いけど、稜線行きゃ風は強いけんね~、は~」
「は~、出た。
や~、虹は、いい風ですね~。
ここまで来りゃ山頂あとちょっとですよ」
目指す立山の主峰、雄山が見えてきました。
頂には社(やしろ)が。
よ~し、あと一息~。
「へ~、あっ、どうもすんませ~ん」
男性の方「はい」
「こんちは~、どうも」
出発から9時間
男性の方「こんにちは」
「どうも」
〇立山(雄山)(3003m)
「あ~、頂上着きました~」
ありがとうございました~。
北東には鹿島槍ヶ岳。
〇鹿島槍ヶ岳
南には槍ヶ岳と穂高岳。
〇槍ヶ岳
〇穂高岳
そして、遠くに富士山も。
〇富士山
〇立山ガイド 多賀谷治さん
「長かったですね~、やっぱこの密度が濃いっていうかね~。
まぁ~、楽しかったですよ。
う~ん、何十回も行った所でも~、行くたびに発見ちゃうあるけど~。
やっぱりこれはもう一遍我が我行って~、岩登りの道具持って~、
もう再度チャレンジしたくなりましたね~」
霊峰、立山に威厳を齎(もたら)した氷河。
その氷河を行(ゆ)く道を自ら切り拓いていく。
中々味わえない山旅でした。
午前11時、標高2450mの室堂を出発しました。
立山を右手に見ながらスタートは歩きます。
僅か1時間余りで雷鳥沢キャンプ場(2280m)に到着をしました。
1日目はこちらで高度順応の為に宿泊をしました。
綿毛になりましたチングルマがとても美しかったです。
2日目は、午前6時に出発をしまして、しばらく行きますと
標高2800mに到着をします。
そしてここからは稜線を進みます。
しばらく行きますと内蔵助雪渓が見えてきました。
内蔵助氷河を過ぎますと、ここからが通常のコースから外れます。
そして最大の難所へでした。
二つの氷河があります立山。
この二つの氷河がいつまでも見られるようにと願いたいものです。