セカンド

駅前の小さな花壇

小説/詩

私は花の妖精フロル
今日は駅の花壇の見回り日

よしよし
きれいに咲いている

駅員さんがいつも手入れをしてくれているから
安心かな

明日は花の神様のチェック日
きれいに咲いている所を見てもらわなくては

ここはあるターミナル駅
朝夕とすごい人数の人が花壇の前を通ります

みんなきれいに咲いている花々を見て
なごんでいます

次の日の朝フロルは花壇を見てびっくり
花が円形につぶれています

どうしたのかな
神様が見に来るのに

するとつぶれた花の下の方から声がします
ミミズのグサーノです

「昨夜酔っ払いにぶつかった女の人が
尻もちをついてつぶれちゃったんだ」

「僕ももう少しでつぶされるところだったんだ」
「怖かったよ」

「そうだったの」
「でももうすぐ神様が見に来るの」

「どうしよう」

「それより
お花を急いで元に戻してあげないといけないは」

「私の大切なお花さんだもの」

「おーいフロル」
「助けてください」

「つぶれて起き上がれないんだ」
白い花をつけたつぶれたエルブが言いました

「エルブすぐ助けるわ」
「よいっしょっと」

でもぺしゃんこにつぶれたエルブは
なかなか元に戻りません

そばにいたカタツムリのカラコルも一緒に
一生懸命に手伝いますが無理みたいです

「おやおや」
後ろで優しい声がしました

するとどうでしょう
つぶれたはずのエルブがピンと立っています

「痛かっただろうエルブ」
「あっ神様」振り向いたフロルが言いました

「エルブよ」
「お前はまだ5つ白い花を咲かせないといけないのだよ」

「これから駅前を通る5人の人がお前を見て
心を和ませることになっているんだ」

「ありがとうございます神様」
フロルとエルブが言いました

その瞬間
笑顔のまま神様は消えてしまいました

朝の7時
これから花壇の前の人通りが増えていきます

いつものように駅員さんが水をたっぷりとあげています
フロルも葉の影からそっと見ています

花壇の前で学生さんが立ち止まりました
そして白い花を見て笑顔で通り過ぎて行きました

「あと4つだねエルブ」
「がんばるよフロル」

ジョウロを持った駅員さんが駅舎へと戻っていきます
今日は秋の晴れた日です
























  • セカンド

    セカンド

    2021/12/27 10:12:10

    かれん 様

    コメントありがとうございます

    小さな物語っぽいものは昔はたまに書いていたのですが
    最近は忘れていました

    冬のお庭は寒いです
    暖かくしてお手入れしてくださいね

    そうそう
    なにか新しい発見があるかもしれませんよ

    庭のお友達にはお正月ってあるのでしょうか?
    なんて考えてしまいました^^

  • かれん

    かれん

    2021/12/27 02:03:54

    お話しを読んで 
    年の瀬で慌ただしいですが、ほっこりした気持ちになりました~ヾ(*^^*)ノ

    お庭がかなり放置しているので、我が家のエルブのお友達が寂しそうかも
    新しい年が来る前にちゃんとお手入れしようと思いました(* ´艸`)ウフフ

  • セカンド

    セカンド

    2021/12/15 02:22:22

    Reimy 様

    昔はよく物語っぽいのを書いていたころもあったような・・・

    ファミマのつぶれたお花たちはまだ花を咲かせています
    茎が上でなく横を向いているので不格好ですがなかなかです

    バッタ、カマキリ、カタツムリ、ダンゴムシ、ミミズ、アリさん
    チョウ、トンボ、セミそして名前が分からない雑草

    我が家の庭で見かける小さな生き物
    主人公はいっぱいいるけどなかなかお話は書けませんね

    どうも最近頭にお仕事その他で雑念が入り過ぎ
    それも原因かと・・・




  • Reimy

    Reimy

    2021/12/14 22:05:50

    「花壇の折れた花を見て物語が浮かんだ」と仰ってたので、折れた原因が気になってしまいましたが、
    「昨夜酔っ払いにぶつかった女の人が尻もちをついてつぶれちゃったんだ」
    これを読んで、悪意によるものでなくて何だかほっとしました。
    とても微笑ましく温もりと希望を感じる、素敵なお話でした。(*^^*)