南の魔女クレア47
クレアがダルニに呼び出された事を知った館の人達はダルニがクレアを実家に帰る様に説得するだろうと思っていました。以前龍の置物を売りに行った時にトウニのホテルでダルニがクレアを実家に帰る様に説得していたのを義姉が知っていて館の人達に話していたからです。なのでクレアが実家に帰る事にしたと聞いても驚きませんでした。何時かは此の日が来るだろうと思って覚悟していたからです。クレアは急いで集会所に村人を集めました。相変わらず少ない出席者でした。クレアは明日にでも国が村人から強制的に税金を徴収する為に「兵士召喚書」が届くと言いました。届く前に「志願兵申し込み」を出していると税の徴収が給料の4分の3から半分に緩和される事、更に激戦地ではなく少しは安全な所に配属される事を言いました。もし直ぐに残りの税金をローンで払うと誓約書を書くのなら其の人達は私の力で明日届くのを遅らせてあげます。そして直ぐに地方役務所に「志願兵申し込み」をすると一日のタイムラグが認められれば志願兵になれるといって誓約書を書く様に説得しました。あの少年も来ていて父親に誓約書を書く様に必死に説得してました。少年は一人の男を指さして「こいつが悪いんだと言いました。こいつはいつの間にか村に住み着いたキリアマリ人なのに嘘の名前を言ってシドリアル人に成りすまして村の人達を悪い方に扇動したんだ!」と言いました。キリアマリ人の名前には特徴がありましたのでキリアマリ人だと解ると仕事に就くにも部屋を借りるにも嫌がられるので多くのキリアマリ人は嘘の名前を使う事が多いのです。少年に聞くとボルアートの御父様がなくなった後にふらりと村にやってきて空き家を前の住民から買ったと言って住み着いた人でした。恐らく税金をきちんと村人が払うと自分が勝手に住み着いたのがバレるので村人がボルアートの義兄の税収の取り方に文句を言った事に乗じて村人を煽り続けて此処まで来たのでしょう。少年は裏にキリアマリ人が関わっているのじゃないかと此れも刑務所で聞いてきてそう言えばと次第に事の全容を理解して来たのでした。其れでも結局誓約書を書いたは17名でした。クレアは其れを持って急いで馬を飛ばしてダルニの所へ行きました。ダルニは郵便局に行くと日付の判を押すのを止めさせていた「兵士召喚書」が入った封筒の中から誓約書が書かれた分は警邏隊の検疫の必要があると言って抜き取りました。村人はクレアが集会所から出る前に直ぐに「志願兵申し込み」に行くようにと言ったので村人は其れに従いました。次の日にクレアが言った様に村人に「兵士召喚書」が届きましたが誓約書を出した人には届きませんでした。二日後に「兵士召喚書」が届いてもクレアが言った様に地方役務所に兵士志願書が先に出してあると申し立てると郵便局の判の日付とチェックして「志願兵」と認められました。改めて「志願兵用の兵士召喚書」が届いて召喚地も更に行く日にちも3日位しか余裕が無いのに志願兵は2週間の余裕がありました。
クレアは此れだけの誓約書と今までの徴収した税金の帳簿を見せると何とか村人が税金を払う意思があるとみなされて国に対して反抗や抵抗する思想の持ち主と判断されるのを免れる可能性があるかもしれないと言って後はサリカにたくして領主を義姉の子供に譲り其の後見人に義姉にして館を去りました。
リヤドの館に付くと御父様もピェールお兄様もウィルお兄様もお兄様のお嫁さんのフィリナも玄関の門の所まで出て迎えてくれました。全員がクレアの変貌した姿を見て何が起きていたのかを察しました。館の中はクレアが出て行った時の使用人がみんな残っていてクレアを迎えてくれました。
セリスがお風呂を用意してくれて長旅の疲れを取るとクレアは少し眠る事にしました。改めて見るとクレアの部屋はおとぎの国の様に見えて懐かしさより可笑しさがこみあげてきました。しかも天蓋付きのベットの小さい事に此れで寝れるのかしらと不安に思いました。風を入れる為の窓を開けると白いカーテンを揺らして懐かしい花々の香りが部屋に入ってきてロッカーに置いて行った以前からきていた寝間着の裾をゆらしました。お母様に頂いた寝間着につけたフリージャの香水の香りが鼻を付いてクレアは自分が此処に戻ってきたことを改めて実感しました。
夕食の時にお父様が「クレアの武勇伝は新聞を見てしっているが本人から詳しく聞かせて欲しい物だ。」と言いました。クレアは新聞にそんなのが載っているのを知ってびっくりしました。
確かに一番最初はクレアが新聞社にリークしたのですが其の後は知りません。
御父様がクレアの載っている記事を切り抜いてファイルノートに貼っていてくれました。
何と税金を払わないで抵抗する村人と其れと闘う女領主と大きな記事で書いてあります。
裁判所に訴え出た事から始まって強制執行の様子。どうしても払わないと言った村人を追い出して其の家を壊した事も乗ってました。
更に女警邏隊として騎乗している様子も挿絵になって載ってました。
殆どの新聞は此の戦時の時に税金を払わないで贅沢をしていた事に腹を立てていましたからクレアに対して好意的に書かれていました。
クレアは最初は使用人が自分より年下の女の子一人しかいなかった事、食事がパンとスープだけで偶に野菜を似たおかずが出るくらいだった事、そして3階に閉じ込められた事を言いました。
ウィルお兄様がクレアなら簡単に其処から逃げれただろうと意地悪を言ったので館が石でできた要塞の様な作りになっていた事、流石に3階だと逃げるのは無理でだから3階に入れられたのだと思うと言いました。
ボルアートを殺して他の女も殺して逃げる事は出来るかもしれなかったけどと言うとフィリナが悲鳴をあげたので上端だけど3階から出るなと言われた時はボルアートが気味悪くて怖かったと言いました。
フィリナも何て嫌な男なのでしょうと体を震わせて言いました。お父様たちも顔を険しくして聞いてました。
まずクレアがした事は3階の探索で何か逃げれる方法が無いかを探している内に此の館が昔は凄い大金持ちだったことが解って更に此の家の歴史を調べるとアギルお兄様の歴史の本に書いてあった凄い名家だった事が解った事を話しました。
領土を案内してもらうと馬で行かないと片隅にも行けない程膨大な領土だと言う事も解った事、其れと専門学校へ通う時に汽車から見える景色で同じぐらいの地形で大きな農場をやっている所が在るのを知っていたので開拓すれば大きな農場が出来るかもしれないと思ったと言いました。
ボルアートが戦地に行っている間に雑記林を館の周りから手入れをして行って領土の本の少しの所に村人が住んでいて館が高台にあって原野を手入れすればまだ農場に出来る所がたくさんあると思ったと言いました。
ボルアートが戦死して自分が領主になって初めて村人が5年間も税金を払ってないという事が解った事、其れからまず自分の領主の滞納している税金と村人から税金を取る裁判費用を作らなければならなくなって館の家宝を売る事にしたと話した所でピェールお兄様がイドエルから其の話は聞いたと言いました。
彼らが予定していた金額の半分で売ってしまって其れが解った時は私はまだまだだと思ったわとクレアは悔しそうに言いました。