南の魔女クレア49
其の日はフリージャと収穫期で忙しいピェールに代わってトウニでの商店会のパーティにでて帰って来て館の雰囲気が何時もと違っているのにクレアは嫌な予感がしました。
何が起きているのは二人とも直ぐには解かりませんでした。使用人達も館には居ずフリージャの「誰かいないの!?」と探し回る声が響いていました。二人は手を取り合って「何?何!」と顔を見合わせてはあちこちを探し回っていると一人の使用人が帰って来て「旦那様が事故・・・でお亡くなりになって・・・ピェール様がお二人が帰ってきたら館で待つように言うように言われて…お知らせに参りました。」と言ったのを聞いたとたんにクレアが「お父様が!?」と叫ぶと「どこ!お父様はどこ!?」と叫んで使用人が来た方へ走り出そうとしました。其処に数人の使用人が来て「ピェール様がお二人は館で待つようにと言われてます」と二人の前に立ちはだかったのでした。
二人が其の状態で立ち尽くしているとセリスが走ってきて「旦那様が!旦那様が小麦の袋の下敷きになって・・・」と言うと泣き出しました。クレアは「お父様の所へ案内して!」と走り出そうとするのをセリスが止めたました。「旦那様のご遺体は警邏隊が検察をすると云ってもう此処にはございません。」と言いました。「検察!?」と聞きなれない言葉にくれは状況が解らない。「ピェール様がお二人は館で待つようにと言われて・・・。」それから続々と使用人達が館に戻って来た。二人は暗い居間で事情も解らないまま長い事待っていました。
ピェールお兄様が帰って来てお父様が小麦粉小屋に入って数を数えて居たら二階の床板が壊れて二階の小麦の袋が下に落ちてきて其の下敷きになってなくなった事を教えてくれました。ウィルお兄様と其の他複数の小作人が警邏隊に事情を聴かれるために警邏隊につれて行かれたと言う事だけが其の時クレアに知らされた事でした。
フリージャがピェールお兄様にしつこく聞いて何かを知っているようだが次日の夕食になってもウィルは帰って来なかったしピェールお兄様は勿論フリージャも目を真っ赤に泣きはらして何も言わないで黙々と食事をしていました。ウィルお兄様が次の日のお昼ごろに帰って来てセリスが即時状態だったらしいと言うお父様のご遺体に会えたのは葬儀の棺に中に入ったお父様の最後のお別れの時でした。
ただただ泣き伏すクレアに誰もがうつむいて見ている状態でした。泣きじゃくるクレアをピェールお兄様が引き離しお父様はの棺は多くの人に見送られながら土の中に入って行きました。何故か警邏隊も遠巻きに見ていのをクレアは不思議におもっていました。一体何が起きたのかはクレアには其の時知らされなかったのでした。
かなり経ってからセリスからお父様を助けようと重なった小麦の袋を大勢でどかしていると二階の床板が出て来たとのことでした。其処には真新しい床の羽目板を支える角材にのこぎりの後が残っていたそうです。それから誰かが警邏隊を呼びに行ったようです。其れは一緒に作業をしていた小作人の一人でした。複数の季節労働者の人が更に数本ののこぎりで傷をつけた後を見つけました。お父様を引っ張りだした時には既にお父様は息をしてなかったのでした。
小作人の一人が医者を呼びに行ったらしく医者と警邏隊がほぼ同時に着きました。警邏隊は明らかにのこぎりで傷をつけたと言う数本の板を固定していた横棒を見つけました。二階には午前中に先に小麦袋を乗せ始めていました。運び込んだのは季節労働者が二人ででした。其の時の一人が床がギシギシしていると感じたと証言しました。それから下に小麦袋を運んだ。
お父様はその数を数え始めた時に上に上がっていた子供が二人飛び跳ねたと同時に床板が外れて小麦袋が二階の床板と一緒にお父様の上に落ちて来きました。すぐに小麦袋をどけ始めたがお父様は助からなかったのでした。
問題は誰が二階の床を支えている横棒を3本半分だけ切ったかと言う事になりました。此れは事故ではなく事件だという事になり直ぐ警邏隊が呼ばれて其れから其処に居た全員が警邏隊に事情を聴かれました。其の日は小麦小屋の戸は朝から開いていて人が大勢其の辺りを通っていたので昨夜の内の犯行と言う事になった。子供たちは午後から三日後に開かれる収穫祭の為に遊びに来ていました。子供達にはアリバイがあって知らずに飛び跳ねたと言う事になりました。次に前夜から次の日の朝にかけてアリバイの無い複数人が警邏隊につれて行かれたという事になります。
其の日の夕食後にピェールはフリージャと私と収穫祭で踊る踊りを複数の使用人に習っていて其の後に寝ました。セリスが私の寝間着への義替えの手伝いに来ました。其の夜は少しの間雨が降っていた。どの長靴も朝は乾いていて夜中に穿いた形跡はありませんでした。
朝方は早くから晴れていました。館でアリバイを証明できる人が居ないのはウィル兄さまだけだったのでした。
ウィル兄さまは食事後は部屋に戻った言います。後複数の小作人がアリバイが無く警察に呼ばれたが誰も証拠がなくのこぎりも見つからなかったのでした。
結局犯人が見つからないまま葬儀が終わって収穫祭も中止になって一月が過ぎた頃に喪が明けたと言うので弁護士が家に訪ねてきてお父様の遺言状を開封すると言うのでピェールお兄様、フリージャ、ウィルお兄様とクレアが応接室で弁護士が開封するお父様の遺言状確認に出席した。
遺言状の内容はピェールお兄様、ウィルお兄様、クレアでお父様の財産は3等分にする事、其れ以外にお母様の宝石は全部クレアに渡す事となっていました。ピェールお兄様が「そんな馬鹿な」と声を荒げました。其れは昔のお母様が生きておられた時にお父様に書かせた遺言状で其の後に書き直すとお父様が言っていたとピェールお兄様がいいました。
もともとクレアにはお母様の宝石は全部貴方にあげるとお母様は言っていました。其れ以外は殆どはピェールお兄様が引き継いでウィルお兄様は最後にいくらかのお金を渡すと言う遺言状はかなり昔に見せられて居ました。
ウィルお兄様のお金の欄は空欄で其の書いた時点のお金のある事情で変わるので最後に記入して弁護士に渡す事になっていました。
其れがお母様が死ぬ間際にお父様に遺言状を今の様に書き直させてお父様はいずれもとに戻すと言っていたのでした。弁護士が言うにはそれきり直しには来なかったので此の遺言状が有効になるという事でした。
ピェールお兄様が一番ショックを受けていたようだ。クレアが誰かと結婚すると其の男がリヤド農場の3分の1を仕切るという事だ。更に其れを売ると言いかねない。お父様の残したリヤド農場は此のままの形で残したいと言う意見はピェールお兄様もウィルお兄様も同じでした。
二人は何日も話し合っていました。そして出した結論がウィルお兄様とクレアが結婚して別の場所に新しい農場を開くという事でした。その為にリヤド農場にあるお金は全部持って行って良いしお母様の宝石も全部クレアにくれると言う事でした。
クレアお兄様はウィルお兄様に其れで良いのかと聞くとウィルお兄様は現在の家長のピェールお兄様が決めた事だからと言います。
だがウィルお兄様はまともにクレアと目を合わせようとしないのでした。