南の魔女クレア59
次にクレアが教えて貰ったのは「魔女の回復薬」の作り方でした。
其れには沢山の薬草を見分けて取る方法を知らなくてはなりません。
所謂「ハーブ」と言われている物から「山菜」に分類されている物、或いは昔から栄養価が高い「根菜」と言われている物です。ゴボウ等を植えている農家はいません。ニンニクは栄養が高いと言われているので覚えやすいですがハーブには色々な種類があって似たような葉っぱでもちょっと軽く考えて似てる葉っぱで代用すると反対に毒薬になってしまう物もあるのです。その為に昔から多くの魔女はそれらを自家栽培を自宅の庭でしているのでした。
此れが商売道具ですから普通の魔力が強いと言うだけでは魔女にはなれません。ですから多くの魔女は一か所に住み着いて自家栽培農園を作っているのでした。いわば自家菜園農場を持っている漢方屋さんとでも言いましょうか?与えられた本には長い事研究されて此れが一番と言う調合の仕方が書いてありました。
簡単に言うと数百年の魔女の研究の成果が乗っているのです。調合の仕方が間違うと「下痢」「嘔吐」「めまい」が強くなって帰って体を消耗させてしまう場合があります。軽い症状を直すのに「大びん本」を丸々飲んで死亡した王様の事が書いてありました。過去に多くの戦士がや勇士が回復を急いで大びんを何本の飲んで下痢と嘔吐の挙句に死亡してます。よって「漢方薬」もそうですが其の人の病状や症状に合わせて飲み方が違って来るのでした。其れを見極めるのも漢方屋や魔女もふくめた「魔女の回復薬」を扱う物の責任になるのです。
此処までは「漢方屋」と同じです。其の魔女が「魔女の回復薬」とする理想的な「漢方薬」が出来ると其れに魔力によって骨が早く元に戻り、引きちぎられたり、避けたりしている内臓をくっつけたりする力を魔力で加えるのです。
つまりアギルお兄様の残して行った本で読んだ「外科的手術」の力をイメージした魔力を注ぎ込むのです。其れはだいたい3種類になります。一番小さいのは「擦過傷」と言われる目に見える切り傷を直す程度で此れも徐々に回復するのと一気に回復するのがあります。
次に骨や内臓の損傷を直す魔法を念じると「中位の魔女の回復薬」が出来ます。「最後に死線をさまよっているかろうじて生きている脳の損傷も含めた全体的な生命を維持するための回復薬」はとてもイメージが難しく其れはある程度深く人の意識の中までに入って行かなければなりません。此れを作れるのは極限られた強い魔女で例えば今現存しているのはコボルト族の御婆さんだけがあのシドリアル国のバスタ地方とコウアニ地方をまたいで広い地域に広がっている魔女の森を作った魔女に其れを習って何百年もコボルト族は伝承して作っていたので其れを飲んでクレアは死ぬ寸前で生き返って来たのでした。
其の薬の使り方も使い方も今はコボルト族のお婆さんしか出来ないと言われていて其の詠唱魔法も伝承によって長い修行を重ねて其の詠唱を覚えてと其れを作る人を育てるのも何十年もかかるそうです。
クレアは其の事も書かれている本をいつでも読んで良いと言われたので暇があれば其れを読みました。シンバは字を読むのがあまり得意では無かったので殆どが前の魔女に習ったとおりの事をやっているそうです。
本には詠唱魔法と強いイメージが使う魔法があって「火を拭け」と言う詠唱をして手をかざして火の玉を作って其れを相手に投げつける方法をイメージだけで其れが出来る方法があるとかいてありました。
詠唱魔法は其の詠唱に強い念力が過去の魔女が混めて作っているので其れを作った魔女の力は凄いとクレアは思いました。
勿論個人の魔力が其の威力に影響してきます。其れと同じなのが道具に其れを込めた武器を作る事です。剣に炎の力を付けると剣の長さの数倍の炎の鋭い剣の形をした火力が出て相手を鋭い火力で焼き切る事が出来ました。
其れは同じように魔力を使って氷に閉じ込めたり水の威力を使ったり風の威力を使ったり雷の威力をつかったりと作った魔女の魔力によって其の威力にも差がありますがそう言った武器が出来ている事も書いてありました。
勿論其れを使いこなせるにも其れなりも魔力が必要で其の剣を持ったからと言って誰でも使えるわけでは無いのでした。
其の事も詳しく本に書いてありました。
クレアは暇があると其の本を読んで魔法に興味を持ち始めました。シンバも字が苦手だったけど読みながら次第に魔法に興味を持った事と更に其処に少し出て来る色々な魔女の事が面白くて自分は魔女を受け継がれたと言っていました。
其の本の中に時々昔の魔女の事が出てきて魔女は結婚が出来ないと書いてありました。何と人の恋とか愛の感情が冷静に止めるたりコントロールをする事が難しく其れを私的感情の嫉妬や憎しみ悲しみに支配されて幾つもの国が滅んだ歴史があり其の為に非常に強い魔力を持った魔法使いが個人的な感情に押し流れて魔法を使うと数倍も魔力が其の人の持っている魔力と体力を威力を失くす様に命をかけて其れをしたと言うのでした。
其の強い魔法使いの総ての魔力の威力は強力で其れが効いている所は広大な範囲であるので殆どの魔女は結婚と同時に魔女を引退をして其の地方から魔女が居なくなったと言うのです。
同じ様に呪いや憎しみに魔力を使うと本人の魔力をそいで肉体的消耗も精神的消耗もおおきく其の魔女を死に追いやるとまで書いてあるのでした。
クレアはでは何のために魔女になるのかと疑問を持って此の考え方には理解できませんでした。
唯の人助けならアギルお兄様の様に医者で十分ですし大勢の人を支配するの為なら王様になれば良いのです。少しの治療をするのなら漢方屋で良いはずです。
其れでも魔女を目指すのなら「魔女の道、魔女道」を知った者が魔女になる道を示すと書いてありました。
其れは魔女を目指す者の決意と死への覚悟が必要であると書いてありました。
強い魔力を持っただけでは本当の魔女にはなれないが多くの魔女は其れが無くても魔女と名乗って魔女の仕事をする事ができるとも書いてありました。
其れでも人助けの道からそれてないのなら魔力をそがれる事は無いだろうとも書いてありました。
もう此処まで読むとクレアにはさっぱりわかりません。
魔力を持って人助けをするのなら魔女になれることは解りました。
だが魔女になって己の力を己の恨みつらみを晴らすために使うと己の命と精神をそぐことになるだろうと書かれてました。
どうやらそう言う『呪い?』の様な物を強力な魔力を持った魔女が自らの命を捨ててかけた様なのです。
幾つかの国が滅んだ例も書いてありましたが其れもどっちが悪いのか其の恨みを晴らそうとした魔女の気持ちもクレアには理解できます。
人間なのですから心の傷を乗り越えられない人だっているでしょう。人の心の痛みを無視したような此の本に書いてある事には今のクレアには理解できませんでした。
多分自分は魔女にならないだろうとクレアは思いました。
魔女の助手で薬草を作っているだけで良いとクレアは思いました。