南の魔女クレア61
後からかんがえるとクレアがシンバに最後に習ったのが飲み水の作り方でした。
飲み水は高い渓谷に掘られた急な石の階段を横に申し訳程度に付いている鉄の鎖が所々に付いている手すりの様な物を頼りに降りて行くと上から滑車に紐で4方吊るされた木の四角い板に壺が載せられて降りてきます。
其の壺は水を入れないと大きさの割には軽いのですが水の精が川の水を操って其の壺に入れます。
クレアが持つととても重い壺でしたが水の精は水の重さが感じないので軽々と其れを板の上に乗せます。
上では別の精霊が滑車に着いた紐をロバの体にむすびつけていてロバに其れをひっぱりあげさせて其れが上に付くと板を手繰り寄せて樽に移します。
其れを何度かくりかえして3つの水の樽を作ります。
其れをロバの荷馬車で運ばせて家の中の近くまで運びます。
一つの樽は食器を洗ったり顔を洗ったりするのに使います。
もう一つの樽は庭の野菜や薬草の水に使います。
最後の一つは飲み水にする為に綺麗な入れ物に変えて其れに魔力をかけて飲み水に変えます。
其の魔力は詠唱魔法で意外と簡単な言葉だったのでクレアは直ぐに覚えました。
冬が近づいてきてました。クレアは水の精霊に水が冷たくて辛くないかと聞きました。水の精霊は水の冷たさも感じないし重さも感じない。寧ろ水の傍に行くと元気が出ると言いました。
上に上げる時の水の精霊以外は水の重さを感じるので上に滑車が付いていても大変です。
ロバはおもそうでした。ふとクレアは一旦其れを下に引っ張ってロバの背中の高さまで引き下げました。
するとロバは引っ張りやすくなったのかふと後ろを振り返ってクレアが手伝ってくれているのを見ました。
其れから少ししっぽを左右に動かすとロバは何時もより早く進みました。
其れからクレアは水あげの時はロバが紐を引っ張る位置をロバの背の高さまで引っ張って降ろしてロバが引っ張りやすいように手伝いました。
こうしてクレアは「魔女の回復薬」の作り方と飲み水の作り方の魔法を覚えました。
其れ以外の魔法は本に書いてあったのですがシンバは其れを教えなかったのでクレアは其のままにしておきましたが本が其れしかなかったので暇な時は何度も其れを読んでいました。
ある日一枚の手紙を残してシンバが此の大きな木の家を出て行きました。冬になる前には帰って来ると書いてあります。
雪こそ振ってませんが木々が色づいて此の場所が高い位置にあるので他より早く冬が来ます。
2週間程度で帰って来ると思いましたが帰って来ません。
その間の事はクレアに任せると書いてあったのでクレアは思い切ってクレアの作りたかったイチゴジャムを作りました。
其れからクレアは二日目のパンを断り蒸しパンを作る事にしました。
自分で料理をするのは久しぶりでしたのでクレアは少し忙しくなりましたが其の分充実した日々を過ごす事が出来て此処の生活が楽しいと思うようになりました。
いよいよ雪が降ってきてあっという間に峠は根雪になりました。
こうなってはロバの荷車はうんともすんとも動かなくなります。
クレアは試しにまたロバに鞍を付けてみました。
何とロバはすんなりと鞍を受け入れました。
そしてクレアに乗れと言わんばかりに体を押し付けてきました。
クレアはカバンに自分が作った「魔女の回復薬」の瓶を6本しか作れなかったけどいれると男物の桃式を履いて前がボタンで下を少し外せるスカートをはくとロバにまたがれたのでそうやって漢方薬の先生のマドレの所に4本届けてお酒を売っているお店にも自分が作ったので少ししか作れなかったけどと言って2本届けました。
流石にメニュをお金と出された時は2本しか持って来れなかったのでと断りましたが彼は遠慮するなとにっこり笑って言います。
其れでクレアは考えて3本持って来れる様になったらココアを飲ませて貰うという事にしました。
時々家の隙間から夕暮れの海が見える此の小さな港町をクレアは少しずつ好きになっていっているのを感じました。
クレアが庭で薬草を探していると誰かがクレアを呼んでます。
クレアはてっきりシンバが帰って来たのかと思って大きな声で「シンバ私は此処よ。庭で薬草をさがしていたの」と言って家の中に入りましたが誰もいません。
可笑しな事もあるものだと思ってまた薬草を探している「クレア、クレア、私達にはっぱを探すのをお手伝いをさせて・。」と声がします。一生懸命声のする方を探すと小さな花の羽の生えた妖精が居ました。
詳しく聞くとシンバの時も薬草を探すのをお手伝いをしてきたそうです。
彼女達は僅かな臭いの違いも解るそうです。ずっと魔女達の葉っぱを探すのを手伝って来たそうです。花は密や香りを出して虫をさそうのですが葉っぱにも匂いがあって人間には解らないそうです。
かれらがシンバを手伝ってくれていたので其れでクレアがずっと時間がかかる薬草探しもシンバは直ぐに大量にとってきていたのでした。
其の小さな花の妖精は別の花の妖精を連れてきて此の花の妖精が話があると言うのです。
果樹園の奥の方の果樹園のリンゴが何十年ももぎ取られて居なくてとても辛がっているので其れを取ってくれたら何かお礼をしますと言います。
クレアはロバに乗って其の奥の長い事リンゴを取って貰ってないリンゴの木の所に案内してもらいました。ずいぶん思いリンゴを付けていたと見えて枝がかなり疲れて垂れ下がっている様に見ます。
クレアはロバに括り付けた両方の籠いっぱいにリンゴをもぎ取りました。
其の妖精たちはお礼をしたいと言うのでどんなことが出来るのかと言うと小さい妖精は葉っぱ探しが得意です、といいました。
大きな妖精は私は此の魔女の森の果樹園を守っている妖精の一人で偶に魔力のある人間が迷い込んだ時に其の人間に幻覚を見せて外に出す事ができますと言いました。
クレアは其の力は今は何も思いつかないのでいつか其れを使って欲しい時には力になって頂戴と言いました。
くれはロバに乗せた両方の籠いっぱいのリンゴを持って帰って早速リンゴジャム作りをしました。
昔の魔女の中にジャム作りをして売っていた魔女が居た様でジャムの瓶が大量にあったのです。
クレアは掃除の時に昔の魔女の一人が書いて行った帳簿を見つけて其の中に購入した砂糖代金とかシナモン代金とか売ったリンゴジャムの値段と数も書いてあったのでまた掃除の時にジャムの瓶を探して大量にあるのを見つけて置いたのでした。
ジャム作りはクレアにとってとても楽しい時間になりました。
クレアは其れでかなり元気を取り戻して「魔女の回復薬」作りの魔法をかける力も着いたのは何時もより多く作る事が出来ました。
此のぺーすだと次にマドレさんの所にもお酒を売るお店の所にも何時もの様に5本ずつ持って行けそうです。
クレアは自分の責任が果たせる事がうれしく思いました。
数が少なかった時の渡す時のあの悲しく惨めな思いをしないかもしれないというだけでベットに入ってもジャム作りの疲れもあってぐっすり眠れました。
そして次の日は朝から仕事がどんどん弾む様に出来るのです。
薬草も小さい妖精が探すのを手伝ってくれて沢山集まりました。
何とか10本の「魔女の回復薬」が出来てしかも魔法をかけた色が頼りない様な色から濃くなっているのが解りました。