NIPPON RISE
INCLUDIING Elephant Talk
老象の物語
(唐突ですがw)
老象は群を離れた
自分の最期が近いと分ったからだ
群が本来向かっている方向とは左側にゆっくりと歩みを変えた
他の象達は誰もそれを咎めず横目で見送った
というか見届けた
歩みは遅いが方向は間違いない
こっちだ
こっちに親がいる
こっちにみんながいる
みんな待っている
どういう遺伝子が彼らの体内に刻印されたのかは分からない
最期を感じた時のマナーは象達のしきたりとなっていた
象は他の動物に捕食されてはいけない
象は自らの最期を自分だけで完結させる
それがしきたりだということを、成長する過程で身に備えた
かなり歩いた
そして辿り着けた
そこは群と行動していた時には行かなかった場所だった
でも何か匂いがする
懐かしい匂いとぼんやりとした映像がある
いまや老象は全力疾走していた
周囲は象の骨で覆われていた
数多の象の骨や象牙が前後左右に散らばっていた
自分がどこにいるのかも分からないまま
体力が続くまで走って
そして尽きた
ごくろうさん
おかえりなさい
おはよう
いってらっしゃい
おつかれさま
そして老象は透明化していった
色を失い
形を失い
それでも走り続けて
真っ白になってもまだまだ走り続けた
なぜならそれは命を宿したものの宿命だから
そしてみんなと再会できた老象が最後にしめます
「パオーン」
魔法瓶という商品名は今じゃ無理かな