ウイルス戦争 神は死んだ

妖刀 さゆき

merchu(メルチュ)

タイムマシンの小説

小説/詩

中学生の時に読んだ小説では
壁にいろんな化学薬品を塗りまくり、どんな反応が起こるか観察している場面がある。
すると偶然、化学反応が起こり なんと、壁に未来の景色が映し出された。
ところが未来の景色は長い間、見ることはできず そのうち消えてしまった。
未来の景色を再現しようと思った主人公は壁の上から、さっき塗った順番で薬品等を塗りつけたが二度と未来の景色が映し出されることはなかった。
そこで主人公はタイムマシンを作って、さっき見た未来の世界に行ってみようと考える。

この小説家は相当にぶっ飛んだストーリーを書いたものだ。
というのも、主人公が見た景色は何百年後の世界か分からんのだ。
タイムマシンを作っても、どの時代に飛べばいいのか 特定できないだろう。
また、主人公が見た地域がどこなのかも不明確だった。

ともかく主人公たちはタイムマシンを作ろうと研究を始めるが、その原理が小説に書かれることはない。

タイムマシンは時間移動をするけど、移動した場所にビルなどが建っていた場合、ビルの壁の中にタイムマシンが取り込まれて、破壊されるだろうと発明者達は考えた。
このためタイムマシンはヘリコプターに搭載された。
空中に浮かんでいる状態でタイムスリップして、時間移動すれば出現場所がビルの中、ということはあるまい という考えだ。

ヘリコプターを買う金を、よく持っていたなと感心する。
そして、とうとうヘリコプターは飛び立ちタイムマシンで時間移動を始めた。
ところがこのタイムマシン、時間跳躍の速度がかなり遅い。
最初の内はタイムスリップに突入しても夜や昼が識別できる状態だった。
そして冬になりヘリコプター内部は低温になり、寒さに震えた。
そのうち春になり夏になり秋になり冬になりを繰り返す内に、タイムスリップはどんどん加速していく。
そして、とうとう目当ての時代にタイムスリップ完了。

未来の世界は文明が酷く衰退しており、経済が低迷している感じだった。
そして氷河期になったのか気温が酷く低かった。
この「未来の世界は氷河期」という設定は数多くのタイムスリップ系小説で描かれた。
昔のSF小説家は全員、地球の未来は氷河期になると考えていたのだ。
それはつまり太陽が核融合している水素が減っていくので太陽の光が弱まっていき地球が氷河期になる、と推測したのだろう。
簡単に言えば燃料切れ間近の石油ストーブぐらいに考えていたわけだ。

ところが近年の研究によると太陽の発光量は1億年に1%づつ増加すると言われている。
このため地球は5億年後には灼熱地獄になり、生物は完全に居なくなる。
つまり氷河期になるという推測は完全に間違っていたわけだ。

それはともかく、寒い未来世界に飛んだ主人公は壁の化学反応で見た、未来の風景の中の若い女を探すのだ。
えっ、女?
そう、実は主人公は未来の風景で見た若い女目当てでタイムスリップしたのだった。
随分、適当な小説だなぁ。
このあと、どうなったかすっかり忘れた。
多分、女を連れて現代にまた戻ってきて めでたしめでたし で終わったのだろう。

そう言えば一番古いスタートレックで氷河期の中で生活していた女とスポックが恋に落ちる、というストーリーがあった。
スポックは女と一緒に氷河期に残りたかったが、違う時間で生きるように体の調整ができていないので長い間、この世界に留まる訳にはいかなかった。
このためスポックは泣く泣く現代に帰ってくる。
氷河期の女もまた、現代の時間で生きるための調整ができないので連れて帰れない、という話だった。
こうしてスポックとカーク船長達は急いで宇宙船に帰り、星系を脱出するのだった。