南の魔女クレア119
クレアはドラゴンの魔法の訓練が一時終わると言ったので今度は勇気を出して更に魔女の森の魔女の城のあちこちを探索する事にしました。
神経を研ぎ澄まして「魔気」の気配を感じると魔女の城をぐるっと取り囲んでいる森のコボルトの村よりに大きな「魔気」の塊がある様な気がします。
クレアは次の日に鳥籠と虫取り網を持って行って思い切って其れを捕まえてみる事にしました。
其れは動かないで其処に置いてある様にも見えましたので簡単に捕まえて籠の中に入れました。
すっかり自信を持ったクレアは城の中に入って今度はもっと下の階を目指す事にしました。
勇気を出してめまいがするのを落ち着かせながら一段一段下に降りると1羽の白い烏と色々な物が浮遊しています。
ぬいぐるみや本やペン、コーヒーカップ、机、椅子、クッションがふわふわと浮かんだりぐるぐると一定のリズムで揺れてみたり更にクルクルと回ったりしています。
白い鳥が近くに寄ってきてクレアの手に止まりました。よく見ると其れは白いカラスでした。
クレアは其のカラスを連れて一旦上の階に戻ろうとしましたが降りて来た階段が見当たりません。
階段を下りた場所から動いてないはずなのに階段が無くなってしまったのです。
何度もあちこちをゆらゆらとクレアも浮遊しながら探しても見つかりません。
クレアは次第に焦って此のまま帰れないのならどうしようかと思うと不安になりました。
どれくらいそうやって上に上がる階段を探していたでしょうか?クレアがへとへとになって泣き出した時に何と涙で目が潤んだ時に階段のある場所を見つけました。
クレアは慎重にそろりそろりと其の場所に行って階段を這うようにして上に上がって行く事が出来ました。
修道院の家に帰るとクレアはどうすべきかと真剣に考えました。
どうやら下に行けば行くほど「魔女が其の部屋を封印して誰も居れたくないと言う気持ちが強い」のが出て居る様な気がします。
あんな使い物にならないと言うか使いにくい城に一人で住んでどうなるのかと思いました。
此れから大金をかけて修復しても肝心の自分が住めないのではどうにもなりません。何せキッチン一つ作れるような場所までたどり着けないのです。
クレアはじっと考えてあの城は「魔石」を管理して「魔石」をしまって置く場所として割り切る事にしました。
そしてクレアの自分の家としての居住場所はクレアの名義になっている此の修道院にする事にして今度は此の修道院を完全にクレアの館として改修する事にしました。
そうと決めてクレアは次の週には実行に移していました。ジルドにある修道院の此の頑丈で豪華で馬鹿デカく外界と隔てた物を立てた工務店にクレア自身が行って今度は其の中の管理棟を立派な館に修復したいと言いました。
其の工務店はトウニに本店がある此の国で一番大きな工務店でした。
クレアの話を聞いて早速トウニの本店に紹介されてクレアは此れはどうだと言う館の設計図を何枚も見せて貰って其の設計によって建てられた大きな館を外観からみるだけならと案内をされて幾つか紹介されました。
それと数人の本店の設計図を書く人と職人さんが管理棟にも見に来てくれました。
管理棟と言っても100年以上前の当時の城と同じように頑丈な作りになってます。
此れを壊して作り直すと成れば莫大な費用が掛かりますし其れは其の場に居た人が口々をそろえて其れはもったいないと言いました。
此れほどの物を今作ろうとしても作れないと言うのです。
そして今の修道院の原型を残しつつ内装を変えて更に外は白い漆喰の壁を貼り付けると言う事にしました。
内装はかなり変えられそうです。二階の部分は3つのそれぞれに従者用部屋を付けたゲストハウスに変える事にしました。
何故ならもともとそうなって居た様で恐らく館長、副館長が二人いて其々に彼らの世話をする修道院の部屋が在った様なのです。
3階は屋根裏部屋と言ってももともとすべてが天井が高いので其処も修道僧の部屋だったのか其の様な作りになっていてそれぞれ幾つかの個室になっていました。
其処もきちんと使える様にして其処から二階に上がるゲストハウスの階段とは別に3階と1階を繋げる階段が在ったので其れもきちんと作り直す事にしました。
修道院なら設計士さんも大工さんも魔女の森の城と違って彼らに任せる事が出来ます。
勿論修道院の庭と言う広い資材置き場もありますし修道士たちの為の棟がありますので其処に職人や大工さんも寝泊まり出来ます。
クレアは彼らの面倒を見るぬぐるみを沢山用意して人型にしなければならないのでそうと決まればとリュックを背負ってまた魔女の城のあの恐ろしい階まで降りて行きました。
そして手あたり次第浮いているぬいぐるみを取るとリュックに詰め込みました。
持って帰って一つ一つを確かめると実に色々なぬいぐるみが在るのが解りました。
殆どが羊のメイド型で掃除、家事、育児など所謂館のメイドとして使われていた者の様でした。
後は羊かと思ったら白熊のコックのぬいぐるみで誰かの魔女の館でコックをしていたようです。
館の在った場所はモニュターニュ国に在った様です。
更に今度はまた別の魔女に仕えていた料理長のぬいぐるみもありました。其のぬいぐるみはモニュターニュ国のどこかの城に勤めていたようです。
今は羊のメイドのぬいぐるみで大量に出てきた事で十分で其れを大工や職人や設計士さんの世話をする事にして修道院の管理棟をクレアの館とする為に改装が始まりました。
其れ以外にも村の人達も手伝いに雇って本格的な工事が始まりました。
更にクレアは例の大きな「魔気」の塊を捕まえたので其れを持って木の家に行ってフクロウ人間を呼び出して此れは何だと聞きました。
フクロウ人間はしばらくそれを吟味していて恐らくコボルトの村に関係した物だろうと言う事でクレアは其れを持ってコボルトの村に行きました。
久しぶりに行ったコボルトの村はすっかりクレアが教えたイチゴの栽培が成功していてイチゴ畑がたくさんできていて大きくて甘くておいしいイチゴは沢山取れて其れは一人が通れる小さなコボルトの道を通して猟師の所へ運ばれて其処へ村の野菜やが毎日通ってきて朝どれイチゴを買って村で毎日売ってました。
其の為に3軒在ったイチゴ農家はすっかり豊かになっていて木の家も驚くほど立派ななのが出来ていて中の家具も其々の家が素敵な内装になってました。
狩猟をしている家は何と大型燻製機で取れた肉を燻製にして村に売っていたので其の家のすっかり立派になってました。
あのイチゴは魔法のイチゴと言うよりも一定の温度と土の良さが魔法で出来ている場所で作るイチゴなので其のイチゴの種を貰って村人が作ってみましたが寒かったり扱ったりのちょっとした変化で作る事が出来ずに更に虫が付いたりと村人が作るのに成功しなかったので村ではコボルトのイチゴはおいしいので高くで取引されてました。
クレアは長い事留守をしている間に色々変化しているのだなぁと思いました。
クレアはコボルトに籠にはいった「魔気」を見せましたが長老も何か解りませんでした。
唯もしかしてと一人のコボルトの青年が木がざわめいていると言うのでコボルトの森を囲んでいる木に関係しているのかもしれないと言いました。