グイ・ネクストの日記帳

グイ・ネクスト

 グイ・ネクストのつぶやきなどを日記でつづっております。

 あと詩をつぶやいたりします

感謝の言葉を発信していきます

わたしは誰? ホラーだと思います。

自作小説

ある学校の窓際で。

 孝雄は窓の外でサッカーをしている誰かを見つめていた。

 どうでもいい。

 授業が終わっても、ホームルームが終わっても、ずっと見つめていた。

 どうでもいい。

 孝雄はそうつぶやくと、立ち上がり、教室を出ようとした。

 すでに教室は自分一人だけのはず。

 そこには金髪で青いローブを着た男の子が立っていた。

 どういうわけか、眼が無い。

 「う、うわ、うわわわわ」と、孝雄はいつの間にか床に尻餅をついている。

 ゆっくりと後ろへ下がる。

 「ねえ、拒絶するの?」と、金髪の男の子の口角は上がる。

 「く来るな」

 「世界を拒絶して、自分さえも?ボクと一緒だねぇ」

 「来るなって行ってるだろ」

 「きひ?ボクは動いていないよ」

 「え?」
 うそだ。何を言っているんだ、こいつ。オレは後ろへ下がっているのに、お前、オレの目の前にいるじゃんよ

 「きひひ。瞬間移動」

 「え?」

 「いただきます」口角を上げて笑っていた口は大きく開き、孝雄を飲み込んだ。


闘技場の優勝者の前。

 「あん、何だてめぇ。武術大会を優勝したトワル様と知って、戦いを挑んでんだろうなぁ」と、オレンジの髪を逆立せている若き剣士は叫ぶ。

 「きひひ。さあ」と、金髪で目の無い、青いローブを着た男の子は口角を上げている。

 「ぶっ殺す」と、トワルは鞘から剣を抜き放ち、金髪の男の子の首を切断した。

 そう、ごろんと。落ちるはずだった。

 切断された首は鮮血を吹き出しながら、曲線を描き、トワルの首を後ろから襲い、食べた。首無しのトワルの身体は数歩だけ前へ進み、闘技場の床に倒れるところで、金髪の男の子の口は大きく開き、飲み込んだ。

 ひぃ、ふぅ、みぃ。

 金髪の目の無い男の子は数を数える。

 ボクの名前?何だっけ。

 パラパラと白紙の本がめくれる。

 ルキフグス。

 白紙のページに文字が浮かび上がり、消えた。

 そうそう、拒絶の悪魔とか呼ばれていたっけ。

 そうそう。きひひ。

 うん?数え間違い?してないよ。

 今、読んでいる”あなた”を食べるから。

 完。


#日記広場:自作小説

  • グイ・ネクスト

    グイ・ネクスト

    2022/02/26 23:21:46

    登場人物はすべてフィクションです。実際にある名前だったとしても一切の関係はありません。

    ご理解お願いします。