5冊目、読了
直木賞受賞作「塞王の楯」今村翔吾著
矛盾という言葉が先に浮かんだ。「絶対に破られない石垣」を造ろうとする、穴太衆飛田組石工頭の匡介と「どんな城も落とす鉄砲」を造ろうとする、鉄砲職人の頭、国友衆彦九郎と大津城を舞台とする戦いを描く。戦国時代に生きる故に、二人とも戦で身内を失い戦を憎んでいる。なのに戦にかかわる仕事をし、まったく反対のやり方で世から戦をなくしたいと考えている。
匡介は石の声が聞こえるという天才的な石工である。塞王と言われる先代の師匠であり養父でもある源斎に見込まれ、野面積みを仕込まれる。彦九郎は、元は武家の生まれにもかかわらず手先の器用さと創造性の豊かさで、自ら鉄砲職人につき腕を上げていった。その天才的な二人と違い人に愛される「蛍大名」こと京極高次とその側近たちがいた。生死を賭けた戦中でも人の優しさを失わない大津城の人々に、一人も死なせない強い気持ちを持つ主人公匡介とその仲間たちに真の「男気」を感じた。一方、根こそぎ潰してやる意気込みで大砲を打ち続ける彦九郎、技術の粋を求めてやまないすごさを感じた。目指すは同じ平和なのだが、犠牲を払っての平和は如何なものなのかとのちに自身に問うようになる。
初めての作家であることの不安さが、本の分厚さとぎっしり詰まった文字に輪をかけ圧倒された。しかし、読み始めるとどんどん引き込まれ、就寝前の時間が過ぎていくのを忘れてしまいそうだった。
jun
2022/03/30 11:51:06
REIさん、コメントありがとうございます。
あの分厚さは、ちょっと気が引けてしまいますね。あと価格も・・・。
私は公民館の図書館でいつも借りてきます。
入賞した話題の新刊などは、いつも購入してくれるので利用しています。
読み始めは何となく進みが悪かったのですが、
戦中の仕事となると、どうなるのかなと早く知りたい一心で
読まずにはいられなくなりました。
読み終えてから、最初の子供時代のころをもう一度読んで(読みが進まなかった個所)
そうだったのかと「石の声が聞こえる」のを見逃していたなと
反省しつつ納得しました。ぜひどうぞ!
☽・REI・☆
2022/03/29 00:40:49
こんばんは^^
「塞王の楯」読まれたんですね~。
私もあらすじを聞いて興味を持っているんですが、本屋さんであの分厚い本を見て
ひるみました(;^ω^)
junさんのご感想だと、あのボリュームも一気に読めるほど面白かったようですね。
もう少し時間ができたら、私も挑戦してみようかな^^