しのさんの日記 | ニコッとタウン

もらったステキコーデ♪：28

春が来た。

庭に、緑の色がよみがえる。

小鳥の歌声が、喜ばしい響きを帯びてくる。

風は日増しに柔らかさを増し、太陽は大気を温める。

魔法のようだと、昔、笑いあった。

毎日が、いろいろなことを覚える日々で、

精いっぱいで、でもにぎやかで。

お師匠さまに怒られたり、ほめられたり、

仲間同士で、いたずらをしたり、笑ったり、泣いたり、喧嘩をしたり。

未来は、いつまでも、明日に続いているのだと思っていた。

いま、

この庭に、わたしはひとり。

共に過ごしていた兄弟のような者たちは、

ひとり、消え。ふたり、消えて。

みな、それぞれのさだめの元に、それぞれの未来へと旅立った。

わたしはこの庭を、受け継いで。

日々、世話をして過ごしている。

植物と、知識と、命をととのえ、

過去から未来への、想いをつむぐ。

次の世代に手渡すために。

お師匠様もまた、旅立たれた。

肉体を離れ、帰ることのない旅路へと。

さびしくはない。

わたしもいつか、旅立つのだから。

その先できっと、また、出会える。それを知っているから。

ただ、友よ。

こんな穏やかな日には。

巡り来た命の輝きが、なぜか胸に染みる。

君はいま、どうしているのだろうか。

寒くはないか。暑くはないか。

悲しくはないか。泣いてはいまいか。

笑って、幸せでいるだろうか。

旅路の先の、君たちが、幸いであるようにと。

祝福あれと。ただ。祈らずにはいられない。

＊＊＊

魔法使いの庭仕事。

預けられていた弟子たちの中で、跡を継いだ人のひとりごと。

まったり時間。