7冊目、読了
直木賞、山田風太郎賞 W受賞 「黒牢城」 米澤 穂信 著
信長を裏切った荒木村重と囚われの黒田官兵衛。二人の推理が歴史を動かす。本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。(読書メーターのあらすじレビューより)
前回の「塞王の楯」と時代が近い。戦国の戦いものかなと思いきや背景こそ戦国の世であったが、中身は推理小説であった。歴史にあまり詳しくない私にとって、荒木村重はあまり有名ではない武将であった。黒田官兵衛は、知将として有名な武士なのに土牢にとらわれていたことがあったなんて、大河ドラマを見ていないのでまったく知らなかった。有岡城で起こるいくつかの謎めいた事件を総括してみれば、少しずつ予感はしていたがまさかの展開だった。
結局、自分はのし上がって一城の主になったが、それで収まる性格でないことが自身でもわかり、毛利に直に助っ人の依頼に行くことを建前として、城主でありながら城を抜け出してしまう。最終的には茶の湯に生きたらしいが、常に戦いを求め上を目指す生き方が性に合っていた村重だった。
知と知の駆け引きのような面白さはあった。