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日本百名山 ~ BSプレミアム ~ ③     

レジャー/旅行

こんばんは!3日(金)は、西日本や東海は晴れますが、

関東から東北では午後を中心に雨が降る所が多いでしょう。
急な強い雨や落雷、突風、雹に注意してください。
北海道も雨が降りやすく、雷を伴う所もありそうです。
南西諸島は激しい雨や雷雨となる所があるでしょう。
土砂災害などに警戒が必要です。

生命あふれる
     清流
アケボノツツジ
   彩る稜線
九州の山々
    一望

              命育む 曙の峰
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                祖母山

〇自然観察指導員 工藤克史さん

5年前から祖母・傾山系など案内している自然観察指導員の工藤克史さん。
地域の子供達にも地元の自然の豊かさを伝えています。

*撮影:4月下旬

前回は祖母山の山頂がだいぶ近く見えるようになった所までの紹介でした。
今回は悠久の大地の営みの紹介から始めます。

<山旅スケッチ>
 悠久の大地の営み

1500万年程前、現在の祖母・傾山系一帯には巨大な火山がありました。
火山活動が治まった後、山塊が隆起し、雨風に削られ、現在の姿になったのです。

祖母山の東には長年の浸食によって削られた渓谷があります。

「全長が約8km続いているといわれてるんですが、
 綺麗な、え~、花崗岩がですねずうっと続いてるようなポイントになってます」

地下のマグマが冷え固まってできた花崗岩には、大小沢山の穴が開いています。
窪みの中の石が水の流れでグルグルと回って岩を削り、
甌穴(おうけつ)と呼ばれる穴を創りました。

〇甌穴

〇奥岳川

こちらは祖母山を源とする奥岳川の下流にある峡谷です。

「滞迫峡(たいざこきょう)という場所になります」

高さ70mにも及ぶ切り立った岩の壁。

9万年程前、阿蘇山の巨大噴火によってこの一帯は火砕流で覆われました。
岩壁にはその火砕流が冷えた際に出来た
柱状節理(ちゅうじょうせつり)と呼ばれる割れ目が見られます。

〇柱状節理

その岩を長い年月かけて水の流れが削り、険しい峡谷が出来たのです。

〇緒方川

祖母山から北へ流れる緒方川。
その田園風景に突如現れたのは。

「これは原尻(はらじり)の滝という滝になります」

落差20m、幅は120mにも渡る東洋のナイアガラとも呼ばれています。

流れ落ちる水が柱状節理の岩を崩して出来た滝。
今も少しずつその姿を変えています。

祖母・傾山系には太古から続く大地の営みが刻まれているのです。

稜線を歩き始めて30分

山頂へ続く険しい岩尾根を進みます。

「この辺りはちょうど馬の背中のように
 稜線が見えることから馬の背っていう風に呼ばれてる場所なんです」

〇馬の背

「奥に見えるのがくじゅう連山」

〇くじゅう連山

「手前の町は竹田(たけた)市になりますよね」

〇竹田市

北には吸収の屋根と呼ばれるくじゅうの山々、ダイナミックな風景だな。

「この先ちょっと岩場が続きますので、
 ロープと鎖がありますので、でもゆっくり渡ってください」

はい、慎重に付いて行こう。

「かなり危険なので、もう一人ずつ渡りましょうかね」

うわぁ~、結構切れ落ちてる~。

う~、渡り切った。

登り続けること4時間半、あっ、小屋だ。

〇祖母山九合目小屋

「今日の目的地到着しました、お疲れ様です」

今日はたっぷり歩いたな~。

「失礼しま~す、よいしょっ」

今夜は祖母山の九合目にある山小屋に泊まります。

2日目

「おはようございま~す」

おはようございま~す。

「昨日はぐっすり寝れましたか?」

はい、お陰様で。

「良かったです。
 そしたら後30分ぐらいで日の出になりますので、
 ちょっと山頂の方で今から朝日を見に行きたいと思います」

午前5時出発

「ここから最後の登りになります。
 で、足場がちょっと、あの~、ガレ場で岩が多くなってくるので、
 気をつけて登ってもらいたいと思います」

「よいしょっ」

ヘッドランプの灯りを頼りに慎重に足場を選んで歩く。

わぁ~、東の空が赤く染まってる~。

「よいしょっ」

「そしたら祖母山山頂無事到着しました、お疲れ様です」

ありがとうございました~。

「凄い朝日が綺麗な感じで昇って来そうなので、早速朝日ちょっと見ましょう」

〇傾山

傾山の向こうから陽が昇って来る

「今少し稜線みたいな見えてると思うんですけども、
 その辺りが四国の山々が見えてます」

愛媛県の宇和島の山々が。

あの阿蘇山が遥か昔、巨大噴火したんだ。

〇阿蘇山

南には

「熊本と宮崎の県境の方になるんですけれども、
 一番奥は遠くで霧島も見えてるような感じですかね」

〇霧島山

鹿児島まで見えるんだ~。

「もうほんと九州全域をこの山から祖母山から見渡せるような感じですね」

九州を形創ってきた山々を望む贅沢な一時(ひととき)を過ごす。

〇自然観察指導員 工藤克史さん

「渓谷付近で、え~色んな生き物が、え~、見られたと思うんですけども、
 標高を高くしていけば、また別の生き物が見られたりとか、
 花々がですね、え~、満開になってる様子が見えたりとか、
 沢山豊かな自然が残ってるんで、子供達が大人になったら山に登って、
 あのまた祖母山の良さだとか、
 ね~この周辺の魅力っいうのに再度気付いていくような
 そんな形で伝えていけるといかな~と思いますね」

満開のアケボノツツジを楽しみ、自然のままの森を巡(めぐ)り、
壮大な大地の歴史にも触れた山旅でした。

大分県のJR緒方駅から車で走ること50分、
奥岳川沿いにあります尾平登山口で工藤さんと待ち合わせでした。
午前7時に出発をしまして、まずは川に沿って歩きました。
奥岳川にはヤマメやアマゴがいまして、この辺りではエノハと呼ぶようです。
そして浅瀬の場所にはサワガニもいました。
また、ムラサキトビケラ、ヤマアカガエルもおりました。
ソボサンショウウオは残念ながら姿を現してはくれませんでした。
歩き始めて1時間、どんどんと森が深くなってきました。
そして道も険しくなってきました。
登り始めて2時間半、明るい緑に覆われました尾根を登りまして、
山頂へ続く稜線を目指しました。
ハイノキの花が咲いていました。
モミやツガが生えていまして、標高1000mぐらいまで沢山生えています。
左側の斜面にはツクシシャクナゲが咲いていて淡いピンク色が綺麗でした。
ツノクロツヤムシというブナの朽ち木に生息をしていました。
ひたすら登り続けること3時間、標高は1400mです。
そしてやっと稜線に到着です。
こちらにはヒガラがいました。
そしていよいとお目当てのアケボノツツジが満開でした。
このような美しいアケボノツツジが毎年春に咲くようですが、
この大自然がいつまでも残って欲しいと感じました。