まったり時間。

しの

ほんのり楽しい、まったり時間。そんな場所。

【お話】花園は、どこにある?

コーデ広場


部屋の中で、お気に入りの紅茶を飲んでいた。

くつろいで、のんびりと。

ふと、緑の影を見た気がした。

ハーブやばらの香りが、どこかから漂った。

そうしたら、思い出したの。

子供のころに読んだ、物語。

『花園にいます! 花園にいます!』

叫んだのは、誰だろう。登場人物? 作家本人?

気難し屋の女の子が、

出会った人を、次々と、花園に導いていく。

こまどりが歌い、ばらが香る庭で、

命が再生されていく。

『花園にいます! 花園にいます!』

叫んだのは、その女の子。そして、わたし。

気がついたら、そこにいたわ。

わたしの体は部屋の中にあって、

手には、お茶の入ったカップを持っているの。

でも、命の輝く花園もまた、そこにあって、

わたしはそこにも、存在していた。

『花園にいます! 花園にいます!』

物語って、生きているの。

時を超えて、空間をものともせずに、

生きて、そこに。存在しているの。

だから心を自由に解き放てば、いつだってわたしは、

花園にいることができる。

命あふれる、花盛りの庭に。


* * *


バーネットの『秘密の花園』。

息子さんを亡くした後に書かれた作品です。

バーネットはしばらく、作品を書かず、静かに暮らしていたそうです。

庭仕事をずっとしていたとか。

悲しみや、苦しみが、土を作り、花を、緑を育てているうちに、次第に昇華されていき、

最終的に、この作品となったのではないか、という気がします。