もえーん

そしていつか誰もいなくなる

日記

昨晩、近所のバーのマスターと飲みに出かけました。


時々ここに書く、いつも行く最寄りのバーではありません。もう一件、最寄り駅前に良くいくバーがあったのですが、色々あって店を閉めることになりました。そこのマスターとです。

良いところ、駄目なところのはっきりした癖の強い人ですが、どこか自分を見ているようなところもあって、私は慕っていました。音楽のこと、映画のこと、本のこと、よく色々と話したものです。

大学を卒業してから30年近く。

学生の頃は、当たり前のように仲間内で会話をしていた、そういう映画や音楽や本や漫画や、ありとあらゆることについての会話が、全く周囲と出来なくなりました。似たような閉塞感を感じる当時の仲間と、たまーに飲みに行っては憂さ晴らしをしながら長い時が経ちましたが、数年前にその店に出向き、まさに目の前が開けるかのようでした。

マスターも、以前の職場(某有名広告代理店)に居た頃は、まあそういう業界ですから、彼の趣味を全開にしても周囲があたりまえに反応してくる文化環境だったわけですが、会社を退職して店を始めて一転、客とはそんな話は出来ず。
たまに客としてやって来る昔の同僚と憂さ晴らしをする程度であったところに私が登場し、話をしていると「え?これとか知ってますか」と大昔のSFなんてモニターに流すのですが、こっちも知っている。
「おーマイティ―ジャックじゃないですか。良いですね。でもわたしこの頃のだとジェリー・アンダーソンがやっぱり好きですよ。マリオネット物よりも、後期の謎の円盤UFOとかスペース1999とか、あの辺ですかね」
そんなことを口にすると、ニヤァッとしながら怪奇大作戦とかも流し始めて、やっぱり実相寺さんは狂ってるとか、爆発は中野さんだよねだとか、そんな話で盛りあがり。。

音楽を流せば、ザ・フーのコンサートビデオを見ながら、やっぱりリードベースはウェントウィッスルが一番だけど狂ってるとか言って笑って、挙句にマスターが店をクローズにして客が入ってこない様に入口に鍵まで閉めて二人で盛り上がていったのも今は昔。

とうとうお店は閉店に。
だからと言うことでもないのですが、飲みに行きました。

ここからが本題(ながい前置きだなぁ。。)

最寄駅から2駅の繁華街にある、50年前から続くバー(ここも先日の日記で書いた犬くんの寄り道のお店同様に、ちょっと具体的なことを書いたら一発で検索されてしまうお店なので、詳細は割愛致します)。ふと私がその店のことを口にしたら、マスターから衝撃の事実が。

「まーでもあそこも、○○さんが亡くなってしまって、店は続いているけどもう行かないよね」

え? ええっ?
○○さんとは、そのお店を50年前に始めたオーナーでありマスターだったのですが、聞けばしばらく前に亡くなったと。

その店の隣には、これまた昔から続く老舗映画館があったのですが、数年前に閉館となりました。大学生の頃は、そこに映画を見に行っては、見終わってから隣の件のバーで吞むという感じでした。
就職して東京に戻り(生まれは東京なので)、そして10年後にまた地元に戻り、私と同じ生年月日のその店に、改めて通うようになっていました。30代半ばから40過ぎくらいまで、死ぬほど働いて、死ぬほど酒を飲んでいた時期に、わたしはその店の一番奥でお酒を飲んでいました。
でも、ここ数年はすっかりと足が遠のいていて、年に一度か二度くらい出向く程度。

マスターは、脳出血で突然亡くなったようです。
まだ70代で、若かったのですけどね。飲むは吸うわ、若い頃からまっとうな生活をしてきていないと言えばそうなのでしょうが。

TVの中の人だけではなく、身近にいたはずの人たちが、一人、また一人といなくなっていきます。
水泳なんてやりつつ呑んだくれて、いつまでも若いつもりの私だって還暦まで10年を切りました。あと10年もしたら、誰もいなくなってしまうのでしょうか。

友達はいないし、近所づきあいもありません。
だから、ほんの僅かな数のつながりのある人たちが消えて行くのは、どうにも気持ちが沈むものです。自分が年を取ることよりも、そっちの方が嫌だな。

そんな話でした。
おしまい。

  • はみ

    はみ

    2022/09/20 17:02:26

    生活能力の絶望的に欠落した、私だ!ワハハ
    別れなかったのもそれなりに理由があってのことなのかな。
    あ、もえーんさんの家族構成とか深堀はしません。

    燃え尽きたんですねぇ。ジョーのように。

  • もえーん

    もえーん

    2022/09/20 02:07:16

    わたしも、つながりあるなと思える人など片手で数えるくらいです。

    わたしは、自分が本当に嫌いなのです。本当は、山奥か何かでひっそりと一人で生きて、死にたいくらいです。自分が消えてしまうことは、わたしには恐怖ではなく、救いなんです。

    それなりに、やりたいことを好きなようにやってきました。仕事も以前は(w)真面目にやっていました。いまでこそ泳いでばかりの生活ですが、人生を賭して仕事をしてきた、真似できるものならやってみろと言い切れるだけ仕事をしてきたつもりです。
    生活能力の絶望的に欠落した奥様を横目に、ほんとうに命を削って子育てしてきたつもりです。完全に失敗しているけどww

    だからもう、十分です。
    わたしは、消えたいのです。

  • はみ

    はみ

    2022/09/19 21:47:05

    持っているからこそ味わえる嫌なことだね。
    私は、本当に、本当に、持ってないの、そういう形の人との繋がり。
    だからニコタの旅立った友は、そういう意味じゃ貴重な存在だったなぁ...。
    (ここだけの話、リア友でもあったのです)
    あ、だから余計に自分が消えてしまう怖さ、なのかも知れないわ。
    もえーんさんの日記読んで、すぅーっと、納得出来た気がする。

    台風通過の夜に考えるにはいいテーマだった。ありがとう。