恭介

テセウスの船 二艘

日記


テセウスの船は有名なパラドックスのひとつである。

前にも書いた気がするのですがもう一度説明しますと

英雄テセウスの船は保存されていた。

時代が下るにつれて、古くなり朽ちたパーツは

次々と新しいものへと交換されていった。

やがてすべてのパーツが交換され

オリジナルのパーツがひとつもなくなった時

この船はテセウスの船と呼んでもいいのだろうか?

という話です。

この話には正解とかそういったものはなく

それぞれがそれぞれの答えを持っていればいいのです。

徐々に変わっていくというのが、この問題の肝であり

いきなり新規で造船した場合はレプリカとして扱われるのでしょうが

徐々に変わった場合は本物と呼べるかもしれない

結果は同じものでも仮定が違うだけで、本物か偽物かが決まるのは

ちょっと面白い気がしますね。

日本のお城の場合は、さらに細かくて

現存十二天守といえどまったく手が入ってないというのはあり得ないですし

その他にも木造復元天守・外観復元天守・復興天守・模擬天守と分けられています



そして最近こんなことを考えるようになったのです。

テセウスの船の所有者が2人いて

その二人が仲たがいをして船を真っ二つに分けてしまい

それぞれが足りない部分を新規パーツで補った場合はどうなるのだろう?

テセウスの船の本物が二艘あることになってしまうのではないのか?

それともどちらも偽物か?

どちらかが本物を名乗ったら他方は偽物か?

なぜこんなことを思ったのかというと

とある人が亡くなったからなんです。



自分から見ると祖母の妹、なので大叔母になるのかな?

が先日亡くなったのです。

彼女はミッション系の大学を出て、中学の音楽教師をずっとしていました。

そして日曜日には教会でパイプオルガンを弾いていました。

宗旨替えをしたのかはよくわからんのですが

10代からずっとキリスト教に携わっていたのは確かです。

そして割と元気なうちから、クリニック併設の老人施設に入ったのですが

いずれ直面する問題として、死後どこの墓に入るか?

ということが浮上してきました。

先祖代々のお墓のあるお寺か、キリスト教徒のお墓か

結論としては、お寺に入ることにしたようですが

事はそう単純ではありませんでした。

彼女が亡くなると、牧師さんが見えて

生前の貢献もあるので、葬儀もキリスト式でやりたい

納骨もこちらの墓にと言ってきました。

元々決まっていた本人の意思とは異なりますが

貢献を盾にされると無下にするわけにもいきません

落としどころとして、喪主が選んだのは

お葬式2回、分骨ということでした。

坊主がお経上げた後、牧師がアーメンやるという

なんとも不思議な世界がそこにはありました。

骨はわけられ。半分はお寺に、半分は教会へと納められる事となったわけですが

そこで冒頭の部分へとつながるのです

もともと一人の人間で、一つの魂だったはずなのに

半分は極楽浄土へ行き 半分は神の国へと行く

そもそも魂とかって半分に分けられるんか?という疑問もありますが…。

この不条理がどうにも腑に落ちないというか

引っかかるんですよね

彼女は、今どちらの世界にいるのだろうか?

その答えはまさしく、神のみぞ知る ってことなんですかね。














  • 恭介

    恭介

    2022/11/09 01:15:42

    Re:にここさん

    相続人が遺言書の公開をしなかったので、どうなってるのかは正確にはわからないのですが
    もしかしたら分骨は書かれていたのかもしれませんね。
    あ、ちなみに牧師さんのお祈りも埋葬も有料です。教会30お寺70とかって話だったかな
    坊主よりは安い気もしますが、貢献あったなら無料でもよいのではとか思っちゃいますね。

  • にここ

    にここ

    2022/11/08 05:33:18

    こんにちは。
    どうして故人の計画してた通りにならなかったんでしょう。
    教会の人も、本人が生きてるうちに打診すれば良かったのに…。
    なんだかもやもやしてしまいます。故人の方がそういう事を、
    あまり気にしない人だったらいいな。

  • 恭介

    恭介

    2022/11/01 00:58:02

    Re:ikaさん

    結局のところは何を未来に残すのか? ってところなんですよね
    オリジナルの断片を残すか、オリジナルの意匠を残すのか
    個人的には、圧倒的に後者の方が価値があるような気がします。
    霊体になると軽いでしょうから、あちこち飛んでいけるといいんですけどね

  • 恭介

    恭介

    2022/11/01 00:52:19

    Re:みゆさん

    そういえばそうですね! キリスト教系の人は天国にいるし、
    そうでない人は極楽にいるだろうし
    両方にいた方がなにかと便利なのかもしれないですね!
    この発想はなかったですw

  • ika

    ika

    2022/10/31 21:22:41

    テセウスの船と日本の建築物とかは、昔からそのままであることよりも
    なんというか……どんな歴史が現在までつながれてきたか、が大事な気がします。

    お寺と教会のお話は……
    本人の行きたいところであるといいですね!

  • みゆ

    みゆ

    2022/10/31 10:41:03

    分骨…どちらの世界にも自由気ままに行ける…だったらいいのかもしれませんね。
    お知り合いさんもあちらこちらにいるだろうし。
    きっと大叔母様、どちらにしようか迷っていらっしゃったならば喜んでられるかと。。。

  • 恭介

    恭介

    2022/10/31 01:05:57

    Re:るりさん

    ヨーロッパ圏でも、お墓がないわけではないですからね。
    あちらは火葬ではないので骨をドウコウってことはないから
    分骨って考えはないかもしれないですね。
    あちらにも県みたいに境があって宗教ごとに分けられたり隣接したりとかあるんですかねw

  • るり

    るり

    2022/10/30 11:51:41

    ヨーロッパ圏の人にとって遺体や遺骨はモノでしかない(body)って思ってたので
    そんなふうに分骨してお弔いするとかあるんだって意外でした

    天国も極楽浄土も実は同じところで
    文化や宗教の違いによって違った風に伝えられてるだけだとわたしは思ってるので
    大叔母様はきっと天国or極楽浄土という呼び名の安息の地でゆっくりなさってると思います