南の魔女クレア157
今回はハタルも白猫に戻ってクレアのカバンの中に入って龍に乗って帰って来ました。
村に着くとマキバルが言った様に冬の真っ最中で広場は雪が積もっています。
クレアは改めてモゾリアナ国との緯度の違いを感じました。
館に付くと早速設計者や実際に工事を行う大工達と綿密な打ち合わせが待ってました。
床板はクレアが思った通りの色の板が丁寧に張ってあってクレアは満足しました。
クレアの部屋も仕事部屋も床下に配管がして在って其の上に床板を引いて其れ以外は殆ど前の状態に戻してありました。
其れ以外の何も決まってない20室は其のままで残りを全面的に改装してクレアはホテルとして使える状態にするつもりです。
外玄関を開けると10m四方の小さなエントランスが在って其処で客人たちは外套を脱いだり預けたりします。
小さなカウンターを作って其処がホテルのフロントの様な形になってます。
其の奥は東側に執事のハタルの執務室とハタルの居室の寝室と専用のトイレの付いたバスルームがあります。
其のエントランスの体面の西の部屋部屋がメイド頭の黒猫の部屋になり同じ様な作りになってますが違いはドアは館を2階もきっちりと3分の一に別けたクレア家専用の部分にもドアがあるという事です。
ハタルにはホテルのホテルマン兼執事長の仕事をして貰うつもりです。
其のエントランスの量扉をあけると大広間になります。
其の大広間に関してはくれは絨毯からソファー、カーテン、テーブル更に壁紙まで細かく注文を付けて実際に何度も龍に乗ってトウニまで実物を選びに行きました。
ハタルの隣の部屋は今までイドエル専用に使っていた豪華な客室をそっくり其処に移築しました。
その部屋がマキバル専用の部屋になりカウンターの横に大広間を通らずにハタルの部屋を通り過ぎる廊下も作りましたが其れとは別に館の中央玄関は来客用として其れとは別に東側にもう一つドアを付けて事務室と応接室を作ってマキバルが来客を其処で対応できる部屋を作りました。
エントランスの両開きを開けた正面の2階の真正面に大きなステンドグラスを置くつもりです。
館の3分の1に区切られた部分は其処だけ吹き抜けになっていて大広間の東側に大きな赤じゅうたんを引いた階段があって其処を途中から両方に別れて上がる様になっていて南側が豪華なスィートルームが3つあります。
其の反対側の北側がツインルームとシングルルームが幾つか作る予定にしました。
館の3分の1は北側は大きな20mも横幅がある大きな厨房が在ってシステムキッチンが離れて3つ作られて真ん中にアイランドテーブルが3つも作られて其の内の一つはデザート専用になってました。
黒猫のメイド頭の部屋と厨房の向いの1階の部屋は大きなレストランの様な形式のホテルに泊まった人専用の食堂になっていました。
其処まではかなり細かく内装も決めました。
後は2階はクレアが帰ってからとクレアが1階の自分の部屋に住んでも改築工事が出来るので其処まで綿密に打ち合わせをしました。
在る日マキバルが新聞を持って来てまた貴族以外の人にも選挙権を要求する人達が禁止されている演説会を開いて警邏隊につかまって今度は首謀者が普通の刑務所では無く昔からある豪悪刑務所に入れられたと言う記事を見せてクレアに言いました。
人を殺したり強盗や巨悪の犯罪を犯したわけじゃないのに自分の意見を言っただけで超極悪人が入れられて死体にならないと出れないと言われている極悪刑務所に入れるのは酷すぎるのでイドエル様に止める様に言って欲しいとクレアに言って来ました。
ハタルもモゾリアナ国の素晴らしさを言って一軒に1票必ず何かしらの政治への投票が出来るのは其の国を良くしようとする気持ちが保たれて良い国が出来ていると思うと其の演説会を開いた人達の意見も間違ってない様に思われると言いました。
クレアは眉を吊り上げて怒鳴り返しました。
「貴族が議員をするのは当然だと思うわ!私を育てた御父様のお父様がどれだけ大金を国に払って男爵と言う地位を得たと思っているの。その後も男爵の地位を保つために高額なお金を払い続けたのよ。お父様が子爵の令嬢と結婚して其の家の養子になるまで高額なお金を国に払い続けたのよ。
其のお金で国は橋を作ったり道路を整備したりしているのよ。
更に私が結婚したボルアートの家も領主として家を守る為にとんでもない苦労をしていたのよ。
私は其の家を守る為に本当に何度も投げ出して泣きだしたいくらい苦労をして頑張ったんだから。
副執事だったマージも家が落ちぶれて実家に執事見習いとして働きに来たけど金持ちの資産家の娘と結婚して家を建て直したのよ。
其れに自分達の家を守るだけじゃないの。マキバルが持ってきた其の新聞の4面を見てごらんなさい。どこの貴族が何にどれだけ寄付をしたのかを書いてあるわ。
其処に一般人の寄付者は100分の1も無いのよ。孤児院を寄付を集めて運営しているのも貴族達よ。病院も寄付を集めて運営しているのは貴族達よ。
此の村の医者のバロルド先生も貴族の家で代々医院を運営して彼は貧しい医者の無い村に夫婦で自分で病院を建ててきてくれたのよ。
其の立派なお父様の意思を継ぐためにトウニで楽に暮らせるのに今のバロルド先生は其の生活を捨てて此の村に来てくれたのよ。
此の国の事を考えて此の国の為に尽くしているのは貴族だけじゃない。
何よ、文句ばっかり言って何もしなくて大金持ちになっても寄付なんてするのは馬鹿馬鹿しいと考えている人達が議員になっても此の国の為に何もしようとしないでモゾリアナ国の組合議員みたいに自分達の利益になる事ばかり主張するようになるんだから。」と言いました。
マキバルもハタルも黙ってしまいました。
「其れに平等な選挙と言っても組合議員は「族議員とか賄賂議員」とか陰で呼ばれていて其の組合に入ったら他の意見は言えないし言うと其処で仕事が出来ない様にさせたり金で票集めをしたりと評判が悪いんだから」とクレアは言いました。
ハタルが「街がとてもきれいだし人々の行いも買い物をしてもおつりをごまかされた事はないし忘れ物は其のまま警邏隊に届けられて本人に帰って来るし其れはシドリアル国では考えられないのでは」と言いました。
するとクレアが「其れは昔に一人の南の魔女が北の魔女から住んでいた城の場所を追い出されてモゾリアナ国にやってきて其の国の荒廃を嘆いて魔石を使って命をかけて魔石に人々がより善を選択する思考を持つように命を総て削って念じて死んでいったからよ」と言いました。
マキバルが「クレアも此の国で其れをすればよいじゃないか。すると此の国の人達はみんな此の国の為に善を選択する行動を取る様になって良い国が出来て人々が幸せになって良いじゃないか」と言いました。
クレアは更に目を吊り上げて顔を真っ赤にして怒鳴りました。
「何で私がそんな事をしなくちゃならないのよ。好きで魔女をやっている訳じゃないし、ホテルで酷い言葉でみんなで私を魔女だと言って攻め立てた人達の為に何で私が命をかけなきゃならないのよ。
お父様が良く市場につれて行ってくれて騙されない様に色々な事を教えてくれたけど常に騙されない様に注意しなさいと色々な例を挙げて実際に見せてくれたわ。其れが普通の人達なの」と言うとマキバルもハタルも其れを何度も経験しているので黙ってしまいました。