ジュンチャン世界を巡る 第120回はモーリシャス
モーリシャスはマダガスカルの東、インド洋のマスカレン諸島に位置しながら、アフリカの国家の1つに数えられています。
イギリス連邦加盟国の1つで首都はポートルイス、国土面積は2040 km2 で国としては世界169位の面積、人口は100万を超えています。
主島であるモーリシャス島と、その付近の島々で構成される島国で、島々の周囲は珊瑚礁で囲まれています。(地球の歩き方)
歴史ですが、この付近に島々が点在していることは、10世紀以前からアラブ人航海者達に知られていて、15世紀にはインド系とインドネシア・マレー系が、1505年にヨーロッパ系として初めて、ポルトガル人が到達しました。
その後、1638年にオランダがインド航路の補給地として植民を開始し、オラニエ公マウリッツ(マウリティウスを英語読みでモーリシャス)の名にちなんでこの島を命名しました。
この植民地統治によって、後々主力産品となってゆくサトウキビの移入や、農園の労働力としての奴隷移入などが行われました。
それから、フランス領、イギリス領の時代を経て、1968年に英連邦王国として独立を達成し、首相にシウサガル・ラングーラムが就任しました。
1992年には立憲君主制から共和制に移行し、モーリシャス共和国となったのです。
地理ですが、同国で最も大きな島である、面積1865 km2のモーリシャス島は火山島で、全体的に標高が低く、最高峰のラ・プチ・リヴィエール・ノワール山ですら828 mに過ぎません。
モーリシャス島は、海岸部の平野と、標高200 m程度の高原の大きく2つの地域に分けられ、平野と高原の間には急崖が存在するものの、いくつかの丘陵を除けば全般に平坦な地形をしています。
同国で2番目に大きなロドリゲス島の面積は108 km2であり、モーリシャス島の東560 kmの位置にあります。
気候ですが、モーリシャスは南回帰線の近くに位置し熱帯気候に属していて、季節は夏と冬の二つに分けられます。
11月から4月までが暖かく湿った夏で、夏の平均気温は24.7度、6月から9月が比較的涼しい乾燥した冬であり、冬の平均気温は20.4度です。
モーリシャスの空気の質は世界で最高の水準とされており、世界保健機関(WHO)が公表するAir quality indexでは、モーリシャスは世界2位とされています。
IMFの統計によると、モーリシャスの2018年のGDPは142億ドルで、1人当たりのGDPは11,206ドル、アフリカ諸国全体では第2位、世界平均のおよそ75.7%の水準です。
モーリシャスの主要産業は入植以来一貫してサトウキビのプランテーションであり、独立以後も1975年までは総輸出額の85%以上を占めるなど、サトウキビに依存するモノカルチャー経済でしたが、1968年の独立後、観光業および、1971年から始まったEPZ(輸出加工区)における繊維産業を中心とする輸出型工業の発展により、堅実な経済発展を遂げ、モノカルチャー経済から脱出しました。
モーリシャス周辺の海域は好漁場であることから漁業も盛んであり、2014年にはカツオ・マグロの輸出が輸出総額の約10%を占めました。
モーリシャスは多民族国家で、住民はインド系(印僑)が68%、アフリカ系と白人の混血によるクレオールが27%、華人が3%、フランス系が2%です。
製糖業・繊維産業・工業と並ぶこの国の主要産業は観光業で、2005年には観光客数は75万人を数え、GDPの15.8%を占め、観光客の多くはヨーロッパから訪れており、中でもフランスからの観光客が全体の28.5%を占めて最大勢力となっています。
ここからは、モーリシャス観光の紹介となります。
まず、最初は海中の滝です。
モーリシャス・ブルーと言われる海の青さと透明度は空から見るのが一番で、空からの絶景を楽しんでいると、突然海の中に滝が出現します。
実はこれ、本当の滝ではなく目の錯覚で、滝が見える辺りは実際には浅瀬ですが、シルトという砂やサンゴ礁の堆積物が海流に流され、結果上空から見ると滝壺に向かって流れ落ちる豪快な滝のように見えるということなんだとか。
ただ、いつもこの現象が起こるわけではなく、干潮時の11時頃、晴れているとたいてい見られるそうです。
次に、ル・モーン・ブラバンです。
モーリシャスの南西端に位置するラグーンに囲まれた半島で、この半島には名前の由来になった玄武岩のル・モーン山がそびえており、頂上からの景色は本当に素晴らしいです。
18世紀から19世紀初頭にかけ、東方奴隷貿易の中継地だったモーリシャスは、多くの逃亡奴隷が住み着いていたという歴史がありますが、ル・モーン山は隠れ場所になっており、洞窟や山頂に小さな集落がありました。
その生活の後が見られる景観は、森林などに守られ現在も観光地として残っています。
最後に、七色の大地です。
島の南シャマレルに、大地が七色に輝く観光地があります。
火山から噴出した鉱物が大気に触れることで起こる化学反応によって色が変化し、大地が七色に彩られたものです。
化学反応とは鉱物が加水分解を受けて生成するもので、暖色系の色は酸化鉄、寒色系の色は酸化アルミニウムの色。
インクを流したように見えるこの景色が自然の土だとは、驚くばかりですが、地質学的にも貴重な現象で、地面に虹が描かれたようなグラデーションは、その日の天気、光の強さや場所によって変わります。
次回からは西アフリカの国々を紹介します。
引き続き気楽に遊びに来てください。( ^)o(^ )