ゲシュ崩ログ 135 無駄に
無駄に、別に美容室に行く予定がない時でも、「これ面白い話だな」と思う話をストックしたいクセがある。美容室で美容師を笑わせるのが生きがいなのですよね。髪切られながら美容師さんが爆笑しなかったら「…ああ…今日負けた…」みたいな気分になるので、一度は美容師さんを笑わせたい…といつも思っているので、美容師さんを笑わせる可能性がありそうな話があると「あ、これ、今度美容室行った時にでもお話しよう」とか考えるくせがある。…私みたいな客ってウザ客だろうな…とはわかってはいても、美容師さんが話しかける人だと絶対話さないと悪いじゃないですか。だから話そうと思うのですし、その時になんか面白い話しといたほうが美容師さんも気が安らぎながら仕事できるかな、とか考えながら生きてるので、何か面白そうな話があると、「美容師に行った時に話す話」という頭の引き出しに、ストックされる話が私にはある。
最近面白かったのは、夏目漱石の三四郎であった。三四郎。なぜその話をしようと思ったかというと、最近自分がそろそろ本気でいい年こいた大人になっているとようやく自覚し始めたからである。いい年こいているが、全くダメな大人なので、文学の話でもしたら「すごくまともで頭超いい~」的な印象を持たれてイケてると思われる。と短絡思考をしたからだ。「夏目漱石の~」なんて言い出したら、きっとまともな大人だと思われるに違いない。と思って、いつか美容師の前でそんな話をしよう。と心に決めて生きている。今のところ、美容室でその話はまだしていないけれど。美容室というファッション雑誌しか置いてないところで、純文学の話をするというチェゲバラ並みの自分がルールの大革命をするという暴挙をまだしていないのでわからないですが、三四郎に限ってはいいんじゃないのかな、と私は思いました。というのも、文学って読まない人には「ああ、はいはい難しいのわかってえらい大層ですね」みたいな感じをもたれがちですが、三四郎という本のつかみ部分。冒頭の部分を読んで、本当にこの作家さんの書く女性関係って凄いな…と思ったからです。
三四郎が一夜を安宿で女と過ごす、という文章が冒頭であるんですけど、そういうのって丁寧な美文だから美しい作品になってるけれど、女と一夜をともに過ごす、という週刊誌の猥談みたいな話ですよね。そんな話から始まった、三四郎。その三四郎が、女に対してとった態度、女にどう誘惑されるか、女がなんと言って別れるか、みたいな事は、これはもう、美容師という人間観察にたけた人たちに言っても、面白いと思ってくれるんじゃないのかな。と思ったからです。実際面白いというか、私って文学でそこしか見てないという位、人間観察しかしてないという気がするので、そんな面白さを面白いと思うのですが、でもまぁ、それは私の感性で、もちろんそれが万国共通で面白いと思われるかどうかはわからないわけだから、本当に美容室でその話をしてウケると思っている訳ではないけれども、今度行くときは、チャレンジしてみようと思いました。もしかしたらその三四郎の女との一夜の話から、もっと面白い話に発展するかもしれません。美容室の美容師さんの事を、私は話の聞き上手で社会世情に精通する情報通だと思っているんですよね。そこまで外れた考えではないと思うけれど、そんな人達だからこそ、私の猥談が嫌っていう人もいるかもしれないから凄く慎重に話したいなと思います。子供連れで行く美容室じゃないところで…と一応そう考えているんだから、やっぱりそんな自覚があるくらいなら、黙っていたほうがいいのだろうか。かわいい子供の為にも、変な話でゲヘゲヘウケルと思ってる痛いオバサンみたいな人から卒業しなくちゃなとか。色々と、美容室に行くまでに、こう長々といっぱい色んな事を考えて生きている。
美容室 何を話すか ネタ探す
何の話をしたら美容師から笑いをとれるか…。美容師さんがプロならば、私は私でプロの客、というものを目指している。