日本百名山 ~ BSプレミアム ~ ②
こんばんは!14日(火)は、北海道では朝のうちは雨や雪の降る所もありますが、
昼頃からは次第に晴れ間が広がるでしょう。
東北から九州は概ね晴れる見込みです。
沖縄は雲が広がりやすく、所によりにわか雨があるでしょう。
穏やかな
柔の世界
荒々しい
剛の世界
神々しい夕景
柔と剛二つの顔を楽しむ
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筑波山
〇大内征さん
山岳雑誌などで作家として活躍する大内征さん。
全国にある標高1500m以下の山を訪ね歩き、
その魅力や楽しみ方を伝えています。
*撮影:12月初旬
前回は紅葉が鮮やかな中腹の所までの紹介でした。
今回はなぜ麓より中腹が温暖?なのかの説明から始めます。
<山旅スケッチ>
なぜ麓より中腹が温暖?
〇なぜ麓より中腹が温暖?
山の麓より中腹の方が暖かいという不思議な現象。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
冬場のよく晴れた風の弱い夜。
放射冷却によって地表の温度が低下します。
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┃ 山
放射冷却 ーー
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↑ ↑ ↑ ↑ ーー
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空気は冷えると重くなる為、中腹の空気は麓へと降りて行きます。
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┃ ┃ 山
中腹の空気 ┃ ーー
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そこへ上空から地表より暖か入り込み、
斜面温暖帯と呼ばれる層を作るのです。
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┃ ┃ ┃ 山
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斜面温暖帯 ┃ ┃ ーー
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この斜面温暖帯を利用して、筑波山ではみかん栽培が盛ん。
観光みかん園も多くの人で賑わいます。
再び柔らかな雰囲気の森を進む。
「周り見てみてください。
結構シダ類がビッシリ生い茂ってますね。
筑波山は暖かいという特徴があるし、
所々で水が出てる所がね少し見れるので。
やっぱり水が豊かというのもあるんですね」
「さぁ急になりましたね~。
ちょっと見てみてくださ~い」
あっ、結構先までありそうですね~?
「約700段ある今日イチの難所です」
え~、そんなに~?
「ちょっと少しでも楽に歩けるような。
あの~コツがあるので~。
まず自分の体から遠い所に足を投げ出してしまったり。
こういう所に残してしまうと、
足を踏ん張って登らなければなくなるので、ちょっとこれだと疲れてきます。
なので出来るだけ自分の体から近い所に脚をそっと踏み出して、
その時に体重を脚の上に乗せてこの状態で脚を伸ばす。
こうすると半端に力を入れたままの状態ではなく、
体重を乗せた状態で歩けるので、ちょっとは楽になると思います」
近い所に脚を
↓
体重を脚の上に
↓
脚を伸ばす
うん、確かに。
これだと随分楽。
とはいえ、700段はやっぱりきつい。
「ちょっと陽が射してきましたね~?
森の中をずうっと歩いて来たんで、
少しねこういう風に、あの陽が入ってくると、
気分もやっぱり和らぎますね~。
目の前におっきな石塚が現われました」
石塚?
〇大石重ね
「これは大石重(おおいしかさ)ねといって、
え~、その昔から小石を持って、
え~、山に上がって来て、まぁそれに願いを込めるんですね。
その込めた願いを神様の側に置こうということで、
それが積み重なって出来たのがこの石塚です」
そっか~、こんな風に書き込む人もいるんだ~?
「では僕も」
あれっ、大石さんも~?
何お願いしたんですか?
「内緒です」
え~、気になる~~。
700段の階段を登り終え、山頂までもう一息。
「分岐に差し掛かりましたね~。
ここ上に上がって行くと、男体山の山頂なんですけれども、
その頂に行く前にちょっとね寄り道したいと思います」
また寄り道?
「とっておきの場所があります」
とっておき?
「是非」
5分程歩くと~。
「寄り道したい所にやって来ました~。
凄い巨石でしょ?」
うわっ。
「ここは立身石(りっしんせき)といわれる所です」
〇立身石
「江戸時代後期の探検家の間宮林蔵(まみやりんぞう)。
まぁこの地域の出身なんですけれども。
少年期にここで出世を祈ったということで、
え~、知られています」
〇間宮林蔵
*資料提供
茨城県つくばみらい市立間宮林蔵記念館
「後世樺太を探検して名前を残してますから。
あ~その意味では、あ~出世が叶った凄くめでたい場所だと思います」
まさに立身石ですね~。
「この上にね~、凄いものがあります」
「ちょっと急な階段なんでゆっくり上がって来てくださ~い」
はい。
おお~、これはまた。
「どうですか?凄い絶景でしょ?」
眼下に広がる関東平野、天下を取った気分じゃ~。
「東京の都心部、ビル群がね~沢山見えてます。
凄いですね~、スカイツリーも良く見えてますよ」
〇東京スカイツリー
さらに富士山も。
〇富士山
最も低い百名山から望む最も高い百名山です。
まさにとっておきの絶景スポット、立身石。
寄り道した甲斐がありました。
そしていよいよこの日目指す男体山の頂へ。
「おっと~」
〇男体山(なんたいさん)(871m)
(祭神 イザナギノミコト)
「はい、お疲れ様でした。
男体山の山頂、標高871mです。
ここにはイザナギノミコトという男の神様がね祀られています」
筑波山を百名山に選んだ理由として、
著者深田久弥は古来より崇められ、
風土記や万葉集にも登場する歴史の古さを挙げています。
下山に使うケーブルカーへと向かいます。
〇御幸ヶ原(みゆきがはら)
「え~、御幸ヶ原へと着しました」
男体山から少し下った所にある御幸ヶ原。
土産物店や食事処が建ち並び、観光シーズンには多くの人で賑わいます。
ケーブルカーの乗り場もここにあります。
一日目、筑波山の柔らかな側面を満喫しました。
今回はケーブルカーの乗り場がある所までと致します。
次回は二日目筑波山の力強い側面に触れます所から始めます。