セカンド

花筏(はないかだ)

30代以上

桜の木が恋をしました
ある街の海の見える高台にある若い桜です

名前は桜夫

恋をされたのはすぐ隣の小さな桜の木

その名前は桜子

彼には思いを伝えるすべがありません

そうだ
彼は思いを花びらに託して伝えます

散っていく花びらはいかだとなって
清流を流れていきます

花いかだはそのまま海へと流れていきました
海はにこやかにほほ笑みました

次の日遠く水平線に文字が現れました
それは植物にしか見えない文字です

その時街の人々は
海の彼方に蜃気楼を見ました

はるか彼方の海に揺れ霞む小さな街を
珍しい出来事として見ていました

その中に桜子は愛のメッセージを
見つけました

思いは伝わりました
桜子は同じように花びらを散らしました

流れてきた淡いピンクの花いかだを
海は前よりにこやかな顔をして波にそっと隠しました

次の日も海の彼方に蜃気楼が現れました

それを見た街の人々は
なぜか明るく楽しい気分になりました

なんて今日は気持ちが良い日なんだろう
心地よく春の風が吹いています

その風の中
桜の枝と枝がそっと触れあいました

その瞬間たくさんの幸せの花びらが風に舞い
街へ海へと飛んでいきました


2013年にアップした詩です
桜で思い出してまた出してきました

10年前が経ったのですね
その間に色々なことがあり過ぎました

そして人々が今一番望んでいるのは
平和なのではないでしょうか

 




 


#日記広場:30代以上

  • セカンド

    セカンド

    2023/04/17 01:17:14

    粋生夢詩 様

    自分の詩や文章は頭に浮かんだことを文字にしているだけ・・・
    そんな感じです

    最近は頭も疲れている為か
    書く意欲も低下気味です

    自分の詩は軽いのに対し
    粋生夢詩さんの詩には重みを感じます

    内容が濃いというか
    何かが迫ってくるように感じています

    それは心の叫びのような・・・

    感想ありがとうございます^^

  • 粋生夢詩

    粋生夢詩

    2023/04/16 18:56:57

    こんばんは。
    当たり前の話ですが、僕はセカンドさんのように優しいものを書けません。
    セカンドさんの作品の中に一貫してあるのは、《芯のある優しさ》ではないでしょうか?
    優しさは人を傷つけることも有ることを知ったうえで、
    やっぱりそれが無いと人は豊かになれないと教えてくれている感覚があります。
    10年前だとは言え色あせないのは素敵です。